薬作り職人のブログ

新薬のアイデアを考える人から見たいろんな話。

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マイクロスコープからナノスコープへ 2014年ノーベル化学賞 はてなブックマーク - マイクロスコープからナノスコープへ 2014年ノーベル化学賞

今年のノーベル化学賞は、エリック・ベツヒ氏(アメリカ、ハワード・ヒューズ医学研究所)、シュテファン・ヘル氏(ドイツ、マックスプランク研究所)、ウィリアム・モーナー氏(アメリカ、スタンフォード大学)の3名が受賞しました。受賞理由は、「超解像度蛍光顕微鏡の開発」、光学顕微鏡の理論的限界を越えた解像度を持つ顕微鏡を開発した業績が対象となりました。ノーベル賞の解説資料では、「マイクロスコープがナノスコープに なった」という面白い表現で、この業績を紹介しています。マイクロスコープは英語で「顕微鏡」、マイクロは100万分の1、ナノは10億分の1を表します。今までの顕微鏡が、ものすごく細かいものが見えるよう進化した、というニュアンスでしょうか。

 

プレスリリース
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2014/press.html

公式サイトでの解説(popular infomatuon;英語だけどオススメ)

http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2014/popular.html 

ノーベル化学賞に米独の3人(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141008/t10015244191000.html

 

顕微鏡といえば、実験室で細胞とか動物・植物の組織標本を観察した覚えのある方も多いと思います。生物学の世界では、顕微鏡は欠かすことが出来ないツールです。生き物の仕組みがどうなっているのか、というのを知ることは、ストレートに言うと、生き物の構造がどうなっているのか、生き物はどのような姿をしているか、を知ることです。構造を知ることで、その機能・働きが理解できる、といってもいいでしょう。

 

理科の授業で顕微鏡を覗いて、生き物が細胞の集まりで出来ていることを実感した方も多いと思います。このような用途に用いられる顕微鏡は、光学顕微鏡とよばれる種類の顕微鏡で、普通の光(可視光とよばれます)を対象に当てて観察します。薄い切片を観察することが多いですが、生きている細胞や微生物を観察することも可能です。

 

光学顕微鏡には「ある一定以上の解像度を持たせることができない」という技術的限界があるとされてきました。解像度とは、異なる2点を「異なる」と区別できる能力のことで、解像度が不足すると異なる2点を2点と認識できなくなります。顕微鏡では、用いる光の波長によって得られる最大の解像度は変わってきます。この解像度の限界は、解像度の算出式を導き出した科学者の名前を取り、アッベの顕微鏡の分解能の限界( Abbe’s diffraction limit )と呼ばれています。光学顕微鏡の場合、解像度の限界は0.2マイクロメートル(1000万分の2m)であり、これは細胞内小器官(細胞の生命活動の場である、ミトコンドリアのような構造)の大きさよりやや小さいくらいです。つまり、光学顕微鏡でミトコンドリアより小さい物を見ようとすると、解像度が足りなくてぼやけてしまい観察することが出来ません。

2014 10 08 Fig1

「アッベの顕微鏡の分解能の限界」のイメージ。他の生物やウイルスとの比較
公式サイト資料から) 

解像度が足りないのをカバーするには、観察対象に当てる光の波長を短くする事が必要です。実際、電子顕微鏡では、ものすごく波長が短い「電子線」を用いることで、光学顕微鏡よりも高い解像度を実現することができます(ちなみに、電子顕微鏡の発明に対しては、1986年にノーベル物理学賞が与えられています)。しかし、波長が短いということは、光のエネルギーが非常に高くしなければいけないということでもあり、生きている細胞を観察するには適していません(あまりに高いエネルギーを与えると細胞が壊れてしまいますし、電子顕微鏡では真空下の観察が必要です)。

 

生物学の研究においては、生きている細胞、生きている組織の姿をそのまま見たいという欲求は非常に強いものがあります。今回のノーベル賞受賞理由となった「超解像度蛍光顕微鏡の開発」は、その望みを「蛍光」という化学の道具を用いて見事に叶えた、顕微鏡技術のブレークスルーといえます。

 

今回の受賞対象となった「超解像度蛍光顕微鏡」の技術は2種類あります。ひとつは、ヘル氏によるSTED(誘導放出制御) 顕微鏡、もうひとつは、ベツヒ氏とモーナー氏によってそれぞれ開発された、1分子蛍光顕微鏡です。

 

いずれの技術も、蛍光物質を用い、極めて微小な範囲での蛍光を検出することで、高解像度を実現しています。蛍光物質は、ある特定の波長の光を当てると光る物質です。有名な蛍光物質としては、蛍光を出す能力を持つタンパク質GFP(下村脩が発見、ノーベル化学賞受賞)があります。今回、細胞を見るためには、GFPのような蛍光タンパク質を用います。例えば、細胞や微生物に蛍光タンパク質をつくらせたり取り込ませたりした後に、蛍光を発する波長の光を当てることで、その蛍光物質がある場所がわかります。いずれの高解像度蛍光顕微鏡の技術においても、蛍光タンパク質がどこにあるかを知ることで、細胞や微生物の全体像をつかむというアイデアが用いられています。

 

STED(誘導放出制御) 顕微鏡では、対象に向かって蛍光物質が光る波長の光(Exciting laser beam)を当てるのですが、その光の周りに蛍光が消える波長の光(Quenching laser beam)を同時に当てます。すると、蛍光物質が光る波長の光だけが絞りこまれ、非常に狭い範囲での蛍光を検出することが出来ます。そして、この作業を繰り返していけば、細胞の構造に含まれる蛍光タンパク質の分布(=蛍光タンパク質が発現する対象の形)が浮かび上がってきます。こうやって得られる対象の像の解像度は、「アッベの顕微鏡の分解能の限界」を超えることが可能です。異なる2点を一度に見るからダメなのであって、1点1点をたどって全体像を再構成すればよい、というイメージですね。

2014 10 08 Fig2

STED顕微鏡のイメージ。ビームを細めて、一点一点なぞっていくと姿が浮かび上がる。
公式サイト資料から) 

一方、1分子蛍光顕微鏡は、蛍光タンパク質の1分子を見るという手法を使います。対象に弱い光を当てて、対象の上にある蛍光タンパク質の一部だけを光らせます。対象の上にある蛍光タンパク質の一部だけが光るので、その蛍光タンパク質同士の距離は「アッベの顕微鏡の分解能の限界」よりも大きくなると考えられ、対象の形は複数の蛍光(の点)として表すことが可能です。この作業を何度も繰り返すことで、対象全体を蛍光の点の集合として表すことが出来ます。STEDが対象の上をなぞるイメージとすれば、1分子蛍光顕微鏡は、何枚も何十枚も写真を撮ると全体像が浮き上がってくる、というイメージです。

2014 10 08 Fig4

1分子顕微鏡のイメージ。蛍光タンパク質の位置を1分子単位で取り込み、同じ視野で何枚も写真をとってそれらを重ねあわせることで全体像をつかむ。
公式サイト資料から) 

 

2014 10 08 Fig5

左が通常の蛍光顕微鏡での観察像、真ん中が同じ視野を1分子顕微鏡 で観察した像。解像度が上がり、ヨリ細かい部分まで見えている事がわかります。
公式サイト資料から)  

 

いずれの手法も、一度に対象を見るのではなく、細かい部分の積み重ねで全体をつかむという、いわば「積分」の感覚で物の形を把握します。私達が通常イメージする顕微鏡とは大分異なりますが、そういう発想の転換があるからこそ、今まで見えなかったものが見えてくる、ということなのでしょう。

 

 

 

 


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[ 2014/10/08 22:07 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(0)

脳の中のGPS 2014年ノーベル生理学・医学賞 はてなブックマーク - 脳の中のGPS  2014年ノーベル生理学・医学賞

2014年のノーベル生理学・医学賞は、ジョン・オキーフ博士(英ロンドン大教授)と、エドバルト・ムセル博士、マイブリット・ムセル博士(両者ともノルウェー科学技術大教授でご夫婦)が受賞しました。受賞理由は、「脳内で位置感覚を構成する細胞の発見」です。簡単に言うと、「自分が今どこにいるのか」を脳の中でどのように認識するのか、という仕組みを発見した功績です。ノーベル賞発表の時には、ノーベル委員会の人は「脳の中のGPS」という例えをしていましたが、言い得て妙だとおもいます。

ノーベル生理学・医学賞プレスリリース
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2014/press.html

受賞理由に関する資料(Scientific Background:The Brain’s Navigational Place and Grid Cell System)
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2014/advanced-medicineprize2014.pdf

 医学・生理学賞に欧州の3人「脳の空間認識」解明(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141006/k10015173391000.html

 

オキーフ博士は、脳の中の海馬に「場所細胞(place cell)」という細胞があることを発見しました。場所細胞は、動物が特定の場所にいる時にだけ活性化します。オキーフ博士の実験はとてもシンプルで、ネズミ(ラット)の脳に電極を差し、ラットの運動と脳の神経活動を記録しました。そして、ネズミの場所と神経活動を対応付けてみると、ある特定の場所でしか反応しない細胞が見つかったのです。これは、ネズミがいる地点(点)に対応して、脳の中に細胞(点)が対応するということになります。この細胞は「場所細胞」と名付けられました。それぞれの場所に対応する場所細胞が存在することで、動物は脳の中に自分の位置を知るための地図を作ることが可能、というわけです(私達がGPSで緯度と経度を決めてやれば、特定の場所が指定できるのと同じ感覚であり、まさに「脳の中のGPS」と言えます。また、オキーフ博士は、場所細胞が記憶機能を持つことも示しました。場所細胞が記憶機能を持っているということは、「今、自分がいる場所」を知るだけでなく、「以前、自分がいた場所」も知る(認識する)ことができる、ということを示しています(カーナビで言う「ドライブ経路の記録」みたいなイメージでしょうか)。

 2014 10 06 Fig1

Place cellsのイメージ(Scientific Background:The Brain’s Navigational Place and Grid Cell Systemから)

エドバルト・ムセル博士、マイブリット・ムセル博士は、場所細胞と似た働きをする「グリッド細胞(grid cell)」を発見しました。グリッド細胞は、海馬のそばにある嗅内皮質とよばれる脳の部位に存在します。場所細胞が、「自分がいる点」を表すのに対し、グリッド細胞は、「自分がどの領域にいるか」を表す細胞です。ネズミを用いた両氏の研究によれば、グリッド細胞により、ネズミは6角形単位(6角形の頂点)で自分のいる領域を判断しています。また、脳の中には、この機能をサポートするために、頭がどの方向を向いているかを知る細胞(Head-direction cells )、障害となるものに反応する細胞(border cells )も存在します。これらの細胞の助けをかり、「どの領域にいるか(grid cellの情報)」と、「どの点にいるか(place cellの情報)」を組み合わせることで、自分の位置を割り出すことが可能というわけです。
 

2014 10 06 Fig2

Grid cellsのイメージ(Scientific Background:The Brain’s Navigational Place and Grid Cell Systemから)

 

これらの発見はネズミを用いた実験で得られましたが、fMRIなどの脳機能検査法を用いることで、ヒトでも同様な仕組みがあることが明らかになりました。ネズミもヒトも同じ仕組で自分のいる場所を認識しているというわけです。

 

生物が生きていく中で、自分がいる場所を認識し記憶することは、とても重要です。日々移り変わる環境の中では、「どこが危険か」「どこで餌が採れるか」「どこに味方がいるか」などの場所と記憶を結びつけることなしには、生物は生きていくことが出来ません。空間認識というのは、まさに「生き物の生存の根本に関わる仕組み」です。

 

ノーベル生理学・医学賞は、ここ数年、「細胞や分子レベルでの生き物の仕組みの解明」での受賞が続いてきました。「ノーベル化学賞と生理学・医学賞の違いは何?」なんて思うことも時々ありましたが、今年の受賞内容は「生き物が環境の中で生きていく仕組み」を丸ごとの動物を用いて解明した点で、「生理学・医学」の名にふさわしいと思います。 

 

 




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[ 2014/10/06 22:21 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(0)

「ちょっと違った方向の差別化」 はてなブックマーク - 「ちょっと違った方向の差別化」

「差別化」は、あらゆる業界において成功の鍵となる要素です。薬作りの世界では、今、「差別化」をどうやって実現するか、について、いろいろな人が頭を捻っています。薬作りの世界での「差別化」は、一言で言うと「新薬を開発するにあたり、現在の治療薬に対してどのような違い(=売り文句)を設定するか」ということです。

 

このような「差別化」にで、すぐ思いつくのは「治療薬が存在しない病気の薬を作る」という考え方です。例えば、アルツハイマー病の治療薬としては、進行を遅らせる薬(アリセプトなど)は使用されていますが、「進行を完全に止める薬」や「低下した記憶力を改善する薬」は存在しません。もし、アルツハイマー病について、「進行を完全に止める薬」や「低下した記憶力を改善する薬」をもし開発できたら、今までにない薬を創りだしたことになるわけなので、比較対象がないという意味で、完全な「差別化」となります。

 

ただし、このような薬剤は、開発するのも非常に難しいものです(だからこそ、治療薬がない)。ご存じの方も多いと思いますが、新薬開発、特に臨床試験では非常に多額の資金がかかります。そんな中、臨床試験の最終段階で有効性が得られなかったり副作用が発症したりして、開発中止となると、そのダメージは非常に大きなものがあります。先にあげたアルツハイマー病治療薬の場合でも「米国リリー社、アルツハイマー型認知症治療薬Semagacestatの第III相臨床試験の予備段階の結果により開発を中止」や「米ファイザーとJ&J、アルツハイマー病治療薬の開発中止」など、大きな損失を伴う開発失敗のニュースをよく聞きます。そのため「治療薬が存在しない病気の薬を作る」という考え方には、大きなリスクを伴います。

 

となると、今、治療薬が存在する病気(=ある程度、薬の成功確率が高いと思われる病気)の中で、いかに「差別化」を行うか、という話になります。このような病気の代表としては、高血圧や糖尿病、関節リウマチ等が挙げられます。このような病気の治療薬は、薬の売上ランキングの上位を占めており、現時点での安定した需要と高齢化などによる更なる需要の拡大が見込まれています。

 

製薬会社としては、このような「ありふれた病気」に対する新薬を、重要な収入源として常に作り続ける必要があります。その理由としては、「新薬を開発してもジェネリック医薬品の参入により、いずれはその売上の多くが失われる」「アルツハイマー病治療薬のような開発リスクの高い薬剤開発の研究費を支えるために安定した収入源が必要」などが挙げられます。

 

ただ、研究者や企画部門の人間にとって「治療薬が存在する病気における薬の差別化」をどのように成しうるか、という課題は難題です。「差別化」とは、「患者さんのニーズ」を、「データというサイエンスの言葉で表す」という言葉に尽きると思うのですが、後半の部分が特に難しいのです。

 

 

というわけで、サイエンスの世界とは若干違った方向への「差別化」を指向する場合もあるようです。

 

この数ヶ月、いろいろと目が回るような忙しさだったのですが、そんな中、あるシンポジウムに参加させてもらいました。産官学連携をうたうそのシンポジウムには、製薬会社の人間も含め、数百人が参加。狭い業界ということで、こういう集まりでは、知った顔に出会うこともよくあること。今回も、知り合いに出会って色々と話をしました。近況の話をひとしきりしたあと、ちょっぴりお仕事の話になりました。

 

そんな中で、一番盛り上がったのは「ちょっと違った方向の差別化」の話題。知り合い(彼)によると、彼の会社では差別化の要素として「薬のネーミング」にポイントをおく方針を決めたそうです。「薬のネーミング」というのは、サイエンスの世界とは方向が違いますが、商品としての「薬」を考えた場合、それはそれで重要な要素を持つようです。彼の会社で、「ネーミング」の議論が出てきた背景としては、、、

 

・今の薬は、外来語っぽいものも含め、とにかく名前が覚えにくい。

・カタカナの羅列で、似たような名前の薬が多く、とにかく名前が覚えにくい。

・昔は、ダジャレのような、耳に残る、インパクトがある覚えやすい薬が多かった。

 

たしかに、これらの指摘は納得できるところが多いです。例えば、ダジャレのようなネーミングの代表格としては、解熱鎮痛剤の「カロナール」。インタビューフォーム(http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1141007C1075_3_01/からダウンロードできます)によれば、名前の由来は「「熱や痛みがとれて軽く、楽になる」の意味」。熱が下がって、体が軽くなーる、まさに頭にすっと入ります。

 

高齢化社会が進行する中、これから患者層の大部分を占めるのは「ダジャレ」や「オヤジギャグ」が大好きなおじさんたち。その人達のニーズに答えるべく、「薬のネーミングに、再びダジャレやオヤジギャグの要素を取り入れる」という方針を、全社的に差別化の主軸に取り入れたようです。

 

彼の会社では、薬の名前のネーミングを、社員総参加の「ダジャレ大会」(大会名は、M-1とかR-1とかが流行っている世の中にあわせ「D-1」(DはダジャレとDrugを掛けてる?))で決めるとの噂も流れているとのこと。。これが真に「差別化」かどうかはともかく、いろいろな見方があるものだとは思いました。こういう大会なら、沢山アイデアを出したいし、出てくると思うのですけどね。。。。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、今日は4月1日。毎年恒例のエイプリルフールネタでございます。

今年のネタは、「というわけで、サイエンスの世界とは若干違った方向への「差別化」を指向する場合もあるようです。」以降の「薬のネーミング」の部分です。全社あげた「ダジャレ大会」があったら、ほんとに気合を入れて臨みたいものですが。ただ、ネタ以外の部分に関してはウソではなく、薬作りの世界で今一番しんどい部分であり、毎日毎日、仕事の中で、研究者の方と一緒に頭をひねっているところです。疲れた頭を癒すためには、「ダジャレ大会」的な頭の体操が合ってもいいかな、とも思うのですけどね。

 

 


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[ 2014/04/01 21:26 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(0)

「ツチノコ見つけた」のか、「ツチノコみたいなものを見つけた」のか。 はてなブックマーク - 「ツチノコ見つけた」のか、「ツチノコみたいなものを見つけた」のか。

今年初めての更新になります。この3ヶ月、盛り上がった話題といえば、やはり「STAP細胞」をまつわるさまざまなニュースでしょう。

 

STAP細胞のコンセプトは、「体内での役割が定まってしまった細胞(分化した細胞)を、体外からの刺激だけで、体の様々な組織の細胞(そして一個体)に変化しうる多能性細胞に変える事ができる」ということでした。私にとっては、「体外からの刺激だけで」というところが、実に興味深いところでした。遺伝子導入のような人工的刺激ではなく、生体内での極端な刺激(酸性刺激、圧力、細菌毒素)において起こる現象ということは、ガンなどの疾患に関する発生メカニズムと関連性があるのではないか、と思えたからです。ニュースを聞いた時には、これから何がわかっていくのか、ドキドキしたものです。「自分たちの仕事にも使えるんじゃない?」って真顔で相談されたりもしましたし、Nature発表された論文は、会社のいろんな人がこぞって読んでいました。

 

ただ、現時点では、STAP細胞に関しては、そのコンセプトの正しさが判断できない状況にあります。実験科学的見地(論文に示されたデータから得られた解釈が科学的に正しいのか)の議論の大前提となる、「論文に示されたデータは実際に実験によって得られたものなのか、ごまかしや虚偽があるのではないか」という点について、はっきりしたことがわからないからです。現在、STAP細胞を発表した理化学研究所が、この点について調査を行っているところなので、その結果を待つしかない、というところです。

 

なんで、こんなことが起こってしまったのだろう、と不思議でたまりません。

 

STAP細胞に関しての具体的な記事は、全容がはっきりするまでは書けそうにありません。ただ、今日見かけた「はてな匿名ダイアリー」の文章(以下に、全文引用させていただきます)に出てきた「ツチノコの写真」の例えがちょっと面白かったので、とりあげてみます(特にSTAP細胞を意識してるわけではありません)。

 

STAP細胞を第三者が再現しても意味がない。その理由。

Oさんは「ツチノコは必ずいる」と固く信じていました。毎日、粘り強くツチノコを探し回りました。。

1月末、Oさんは、「ツチノコを発見した!」と発表しました。Oさんが撮影したツチノコの写真は人々に衝撃をあたえ、多くのメディアが大々的に報道しました。しかし、実は、このツチノコの写真は、ヘビの写真をフォトショップで処理したねつ造写真でした!
2月に入ると、写真の捏造を疑う声が世間に次第に広がりました。
3月、Oさんは、とうとう、捏造を認めて人々に謝りました。
4月、ご近所のPさんが本当にツチノコを発見しました。Pさんが撮影した写真は本物でした。

この場合、ツチノコの発見者はPさん。

 

この例え話でいう「ツチノコ」は「新しい科学上の概念」としていいでしょう。世の中の研究者は、「ツチノコの存在を証明したい、できれば本物を捕まえたいけど、少なくとも間接的に写真で存在を証明したい」と考えています。で、いろいろ手をつくしてツチノコを探すのですが、なかなかそう簡単には見つからません。

 

そんな中、「道端でツチノコみたいな動物を見かけ、急いでシャッターを切った。ぼやってしてて姿がよく判別できないけど、この写真に写っている動物はツチノコの可能性が高い」という状況が現れたらどうするべきでしょう?ぼやっとしたツチノコの写真」には、世の中でツチノコと信じられているような形は映っていますが、ピンぼけしてて、ツチノコと同定するに足りるもの、までは写っていません。

 

考えられる行動としてまず挙げられるのは、「そこにツチノコがいる」と信じて、本物のツチノコともう一度出会える(もしくは捉える)まで、徹底的にツチノコ探索活動を行う、という対応です。どんなに時間がかかっても、本物を見つけるまで妥協しない。本物(もしくは本物であることをきちんと示せるだけのクオリティを持った写真)を見つけたうえで、初めて世の中に公表します。本物を捕まえれば、権威あるメディア(研究の世界では権威ある学術雑誌)は、こぞって取り上げてくれるでしょう。

 

もう一つは、とりあえず「ツチノコみたいなものを見つけた」いう事実をまずは表明するというものです。そのような事実を先ず表明し、優先権を確保した上で、より詳細な調査と探索を行ないます。ある程度の情報を提供すれば、世の中も自分たちが調査している領域をどんどん探すことになり、競争相手も増えますが、ツチノコを見つけるという目的全体でみると、ツチノコの実在が示される確率はすごく高くなります(そうなると、優先権を確保した事が生きてくる)。

 

ただ、このアプローチは、第三者を説得するための材料が少ないため、その主張を世の中に発表するためのハードルは非常に高いです。これをクリアするには、メディアのハードルを下げる(権威ある雑誌ではなく、ランクを落とした雑誌から発表する)とか、ぼやっとした写真以外の状況証拠を揃えて権威あるメディアに取り上げてもらうとか、それなりの方法を取らないといけません。そのハードルの高さ次第では、「フォトショップを使って云々」という、黒い誘惑が心のなかから湧いてくることもあるでしょう。もちろん「ツチノコみたいなもの」と「ツチノコ」はイコールではないので、その差は明確に示されなくてはいけません。

 

どちらの方法が良い悪い、というつもりはありません。ただ、近年は、競争やら特許やら、スピードが色々と要求されるので、後者のほうが前に出てくることが多いのではないかと思います。そして、そのような状況では、「ツチノコを見つけた」のか「ツチノコ(みたいなの)を見つけた」のか「ツチノコ(みたいなのがいる場所)を見つけた」のか、受け手(研究であれば、その分野の個々の研究者)は、常に気をつけないといけないと思います。

 


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[ 2014/03/15 23:15 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(-)

2013年をふりかえって はてなブックマーク - 2013年をふりかえって

今日で、2013年も終わりです。あっという間の1年間でした。

 

あっという間、と感じる原因は、お仕事が目が回るほど忙しかったこと+幸いにも仕事の内容がとても充実していた、というところにあるのだと思います。ブログの更新回数がめっきり減ってしまいましたが、その分、それ以外のいろんなことがうまく行ってている、と言う具合に解釈していただきたいと思います。

 

私の最近のお仕事で大きな部分を占めるのは、1)新規プロジェクト立ち上げのための企画立案、2)プロジェクトの中のハブととして部署間調整、3)問題点抽出と問題点解決のための企画立案、の3つ。海外出張を含め、ほんとに頭と口と足をたくさん使った一年でした。体力的・精神的にちょっとキツイ時期もありましたが、余裕を残して無事完走したという感じです。

 

ブログの記事は余り書けませんでいたが、「目の前の情報を、自分の言葉として筋道建てて説明できるよう考える」ということに関しては、毎日、お仕事の中で行っていました。そういう意味では、(自分の中で)ブログ執筆作業を毎日行っていた、ということなのかもしれません(もちろん、お仕事のことなので公開するわけには行きませんが)。お仕事以外のブログ作成の余力があまりなかったのは、家でも会社の延長っぽい状況になるのを、私の頭が無意識に避けていたからかもしれません。

 

このブログも、来年で10年という節目を迎えます。出来る範囲で更新をしていきたいとは考えていますが、頻度に関しては、自分の周りの状況に左右されるので、どの程度になるのかはなんとも言えません。気長に更新をお待ちいただけるとありがたいです。

 

それでは、2014年もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 


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[ 2013/12/31 17:33 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


薬&提灯 詳しくは
病院でもらった薬の値段
http://kusuridukuri.cho-chin.com/

お薬の名前の由来
http://drugname.onmitsu.jp/

ミニ提灯データベース
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