FC2ブログ

薬作り職人のブログ

新薬のアイデアを考える人から見たいろんな話。

一から薬を作るということ。 はてなブックマーク - 一から薬を作るということ。

この記事は、
港町の生物系大学院生さんの質問、へのコメントを兼ねています。
専門用語とかが出てくるのですが、雰囲気だけでも味わってみてください。

結晶構造解析で、薬剤を相互作用させるべき部位の構造が解けているにもかかわらず、その構造情報を元に一から薬をつくらないのはなぜでしょうか?

答えは単純で、作らないのではなく作れないのです。いくら、構造が解けているといるといっても、相互作用するポケットのなかの、水素結合する可能性があるアミノ酸残基や、疎水性の相互作用する可能性があるアミノ酸の残基の位置関係がわかった、というだけのこと。

じゃあ、そこのポケットに何を入れたらいいのか。それには無数の可能性があります。結合部位が3カ所せいぜい4カ所だとしても、いろいろな官能基の組み合わせを考えると、莫大な組み合わせになります。

もちろん、これらをむやみやたらに合成して、活性を確かめる訳にはいきません。成功の可能性が低いからです。こんな組み合わせがいいんじゃないか、という軽い?気持ちで、成功可能性が低いことに資源や人材をつぎ込むことはできません。結局、製薬会社が商売でやっていることですから。

会社は、化合物が見つかるか見つからないかを、はっきり決めることを求めます。それを判断するための期間とスクリーニング対象(既存のデータベース)をはっきりさせ、予算を組み、そのなかで資源や人材を割り振り、期限厳守で実験を行います。

時間が勝負の世界ですから、見つからないという結果ならば、さっさと撤収する、という足の軽さ、が必要なのです。

この他に、既存のデータベースを使う理由としては、データベースの中には、元々薬に適した性質、構造をもつ、性格がいい?化合物がたくさん含まれているということがあげられます。スタートから出来るだけよい化合物を選んでおけば、開発のスピードが、俄然違ってくるからです。

ここまでは、大っきな会社のはなし。

ベンチャーでは、大胆な挑戦をしているところがあります。例えば、タンパクの結晶構造の情報を元に、薬に適した構造をつくるためのソフト、を開発している企業があります。

医薬分子設計研究所
http://www.immd.co.jp/product_2.html
↑すいません、このリンク切れてました。現在はどうなってるのかな? 
(2008/4/9)

このソフト、製薬企業に取り入れられてるかどうかは、わからないのですが、どこかの企業がこれをつかって一発当てれば、なだれをうって使うようになるでしょう。それがいつになるかはわかりませんが。

薬を一から作るというのはとても大変なことです。オリジナルな薬というのは、偶然の発見に頼らないとできない、というのが実情なのですが、それでも研究者は頭をひねり、汗を流して懸命に薬作りをしています。

長くなってしまいました。
これで、答えになってるのかな?


人気blogランキングへ

応援ポチッとお願いします
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ 2007/06/18 00:45 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

スポンサードリンク

この日記のはてなブックマーク数

このブログが生まれて
最近のコメント
プロフィール

薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


薬&提灯 詳しくは
病院でもらった薬の値段
http://kusuridukuri.cho-chin.com/

お薬の名前の由来
http://drugname.onmitsu.jp/

ミニ提灯データベース
http://kentapb.nobody.jp/
でどうぞ。


本ブログに関するご質問・ご意見などはこちらまで↓
ご使用の際は、@マークを半角に直してください。

kentapb@gmail.com

トラックバック


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...