薬作り職人のブログ

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「ちょっと違った方向の差別化」 はてなブックマーク - 「ちょっと違った方向の差別化」

「差別化」は、あらゆる業界において成功の鍵となる要素です。薬作りの世界では、今、「差別化」をどうやって実現するか、について、いろいろな人が頭を捻っています。薬作りの世界での「差別化」は、一言で言うと「新薬を開発するにあたり、現在の治療薬に対してどのような違い(=売り文句)を設定するか」ということです。

 

このような「差別化」にで、すぐ思いつくのは「治療薬が存在しない病気の薬を作る」という考え方です。例えば、アルツハイマー病の治療薬としては、進行を遅らせる薬(アリセプトなど)は使用されていますが、「進行を完全に止める薬」や「低下した記憶力を改善する薬」は存在しません。もし、アルツハイマー病について、「進行を完全に止める薬」や「低下した記憶力を改善する薬」をもし開発できたら、今までにない薬を創りだしたことになるわけなので、比較対象がないという意味で、完全な「差別化」となります。

 

ただし、このような薬剤は、開発するのも非常に難しいものです(だからこそ、治療薬がない)。ご存じの方も多いと思いますが、新薬開発、特に臨床試験では非常に多額の資金がかかります。そんな中、臨床試験の最終段階で有効性が得られなかったり副作用が発症したりして、開発中止となると、そのダメージは非常に大きなものがあります。先にあげたアルツハイマー病治療薬の場合でも「米国リリー社、アルツハイマー型認知症治療薬Semagacestatの第III相臨床試験の予備段階の結果により開発を中止」や「米ファイザーとJ&J、アルツハイマー病治療薬の開発中止」など、大きな損失を伴う開発失敗のニュースをよく聞きます。そのため「治療薬が存在しない病気の薬を作る」という考え方には、大きなリスクを伴います。

 

となると、今、治療薬が存在する病気(=ある程度、薬の成功確率が高いと思われる病気)の中で、いかに「差別化」を行うか、という話になります。このような病気の代表としては、高血圧や糖尿病、関節リウマチ等が挙げられます。このような病気の治療薬は、薬の売上ランキングの上位を占めており、現時点での安定した需要と高齢化などによる更なる需要の拡大が見込まれています。

 

製薬会社としては、このような「ありふれた病気」に対する新薬を、重要な収入源として常に作り続ける必要があります。その理由としては、「新薬を開発してもジェネリック医薬品の参入により、いずれはその売上の多くが失われる」「アルツハイマー病治療薬のような開発リスクの高い薬剤開発の研究費を支えるために安定した収入源が必要」などが挙げられます。

 

ただ、研究者や企画部門の人間にとって「治療薬が存在する病気における薬の差別化」をどのように成しうるか、という課題は難題です。「差別化」とは、「患者さんのニーズ」を、「データというサイエンスの言葉で表す」という言葉に尽きると思うのですが、後半の部分が特に難しいのです。

 

 

というわけで、サイエンスの世界とは若干違った方向への「差別化」を指向する場合もあるようです。

 

この数ヶ月、いろいろと目が回るような忙しさだったのですが、そんな中、あるシンポジウムに参加させてもらいました。産官学連携をうたうそのシンポジウムには、製薬会社の人間も含め、数百人が参加。狭い業界ということで、こういう集まりでは、知った顔に出会うこともよくあること。今回も、知り合いに出会って色々と話をしました。近況の話をひとしきりしたあと、ちょっぴりお仕事の話になりました。

 

そんな中で、一番盛り上がったのは「ちょっと違った方向の差別化」の話題。知り合い(彼)によると、彼の会社では差別化の要素として「薬のネーミング」にポイントをおく方針を決めたそうです。「薬のネーミング」というのは、サイエンスの世界とは方向が違いますが、商品としての「薬」を考えた場合、それはそれで重要な要素を持つようです。彼の会社で、「ネーミング」の議論が出てきた背景としては、、、

 

・今の薬は、外来語っぽいものも含め、とにかく名前が覚えにくい。

・カタカナの羅列で、似たような名前の薬が多く、とにかく名前が覚えにくい。

・昔は、ダジャレのような、耳に残る、インパクトがある覚えやすい薬が多かった。

 

たしかに、これらの指摘は納得できるところが多いです。例えば、ダジャレのようなネーミングの代表格としては、解熱鎮痛剤の「カロナール」。インタビューフォーム(http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1141007C1075_3_01/からダウンロードできます)によれば、名前の由来は「「熱や痛みがとれて軽く、楽になる」の意味」。熱が下がって、体が軽くなーる、まさに頭にすっと入ります。

 

高齢化社会が進行する中、これから患者層の大部分を占めるのは「ダジャレ」や「オヤジギャグ」が大好きなおじさんたち。その人達のニーズに答えるべく、「薬のネーミングに、再びダジャレやオヤジギャグの要素を取り入れる」という方針を、全社的に差別化の主軸に取り入れたようです。

 

彼の会社では、薬の名前のネーミングを、社員総参加の「ダジャレ大会」(大会名は、M-1とかR-1とかが流行っている世の中にあわせ「D-1」(DはダジャレとDrugを掛けてる?))で決めるとの噂も流れているとのこと。。これが真に「差別化」かどうかはともかく、いろいろな見方があるものだとは思いました。こういう大会なら、沢山アイデアを出したいし、出てくると思うのですけどね。。。。

 

 

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さて、今日は4月1日。毎年恒例のエイプリルフールネタでございます。

今年のネタは、「というわけで、サイエンスの世界とは若干違った方向への「差別化」を指向する場合もあるようです。」以降の「薬のネーミング」の部分です。全社あげた「ダジャレ大会」があったら、ほんとに気合を入れて臨みたいものですが。ただ、ネタ以外の部分に関してはウソではなく、薬作りの世界で今一番しんどい部分であり、毎日毎日、仕事の中で、研究者の方と一緒に頭をひねっているところです。疲れた頭を癒すためには、「ダジャレ大会」的な頭の体操が合ってもいいかな、とも思うのですけどね。

 

 

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[ 2014/04/01 21:26 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(0)
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Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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