薬作り職人のブログ

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「ツチノコ見つけた」のか、「ツチノコみたいなものを見つけた」のか。 はてなブックマーク - 「ツチノコ見つけた」のか、「ツチノコみたいなものを見つけた」のか。

今年初めての更新になります。この3ヶ月、盛り上がった話題といえば、やはり「STAP細胞」をまつわるさまざまなニュースでしょう。

 

STAP細胞のコンセプトは、「体内での役割が定まってしまった細胞(分化した細胞)を、体外からの刺激だけで、体の様々な組織の細胞(そして一個体)に変化しうる多能性細胞に変える事ができる」ということでした。私にとっては、「体外からの刺激だけで」というところが、実に興味深いところでした。遺伝子導入のような人工的刺激ではなく、生体内での極端な刺激(酸性刺激、圧力、細菌毒素)において起こる現象ということは、ガンなどの疾患に関する発生メカニズムと関連性があるのではないか、と思えたからです。ニュースを聞いた時には、これから何がわかっていくのか、ドキドキしたものです。「自分たちの仕事にも使えるんじゃない?」って真顔で相談されたりもしましたし、Nature発表された論文は、会社のいろんな人がこぞって読んでいました。

 

ただ、現時点では、STAP細胞に関しては、そのコンセプトの正しさが判断できない状況にあります。実験科学的見地(論文に示されたデータから得られた解釈が科学的に正しいのか)の議論の大前提となる、「論文に示されたデータは実際に実験によって得られたものなのか、ごまかしや虚偽があるのではないか」という点について、はっきりしたことがわからないからです。現在、STAP細胞を発表した理化学研究所が、この点について調査を行っているところなので、その結果を待つしかない、というところです。

 

なんで、こんなことが起こってしまったのだろう、と不思議でたまりません。

 

STAP細胞に関しての具体的な記事は、全容がはっきりするまでは書けそうにありません。ただ、今日見かけた「はてな匿名ダイアリー」の文章(以下に、全文引用させていただきます)に出てきた「ツチノコの写真」の例えがちょっと面白かったので、とりあげてみます(特にSTAP細胞を意識してるわけではありません)。

 

STAP細胞を第三者が再現しても意味がない。その理由。

Oさんは「ツチノコは必ずいる」と固く信じていました。毎日、粘り強くツチノコを探し回りました。。

1月末、Oさんは、「ツチノコを発見した!」と発表しました。Oさんが撮影したツチノコの写真は人々に衝撃をあたえ、多くのメディアが大々的に報道しました。しかし、実は、このツチノコの写真は、ヘビの写真をフォトショップで処理したねつ造写真でした!
2月に入ると、写真の捏造を疑う声が世間に次第に広がりました。
3月、Oさんは、とうとう、捏造を認めて人々に謝りました。
4月、ご近所のPさんが本当にツチノコを発見しました。Pさんが撮影した写真は本物でした。

この場合、ツチノコの発見者はPさん。

 

この例え話でいう「ツチノコ」は「新しい科学上の概念」としていいでしょう。世の中の研究者は、「ツチノコの存在を証明したい、できれば本物を捕まえたいけど、少なくとも間接的に写真で存在を証明したい」と考えています。で、いろいろ手をつくしてツチノコを探すのですが、なかなかそう簡単には見つからません。

 

そんな中、「道端でツチノコみたいな動物を見かけ、急いでシャッターを切った。ぼやってしてて姿がよく判別できないけど、この写真に写っている動物はツチノコの可能性が高い」という状況が現れたらどうするべきでしょう?ぼやっとしたツチノコの写真」には、世の中でツチノコと信じられているような形は映っていますが、ピンぼけしてて、ツチノコと同定するに足りるもの、までは写っていません。

 

考えられる行動としてまず挙げられるのは、「そこにツチノコがいる」と信じて、本物のツチノコともう一度出会える(もしくは捉える)まで、徹底的にツチノコ探索活動を行う、という対応です。どんなに時間がかかっても、本物を見つけるまで妥協しない。本物(もしくは本物であることをきちんと示せるだけのクオリティを持った写真)を見つけたうえで、初めて世の中に公表します。本物を捕まえれば、権威あるメディア(研究の世界では権威ある学術雑誌)は、こぞって取り上げてくれるでしょう。

 

もう一つは、とりあえず「ツチノコみたいなものを見つけた」いう事実をまずは表明するというものです。そのような事実を先ず表明し、優先権を確保した上で、より詳細な調査と探索を行ないます。ある程度の情報を提供すれば、世の中も自分たちが調査している領域をどんどん探すことになり、競争相手も増えますが、ツチノコを見つけるという目的全体でみると、ツチノコの実在が示される確率はすごく高くなります(そうなると、優先権を確保した事が生きてくる)。

 

ただ、このアプローチは、第三者を説得するための材料が少ないため、その主張を世の中に発表するためのハードルは非常に高いです。これをクリアするには、メディアのハードルを下げる(権威ある雑誌ではなく、ランクを落とした雑誌から発表する)とか、ぼやっとした写真以外の状況証拠を揃えて権威あるメディアに取り上げてもらうとか、それなりの方法を取らないといけません。そのハードルの高さ次第では、「フォトショップを使って云々」という、黒い誘惑が心のなかから湧いてくることもあるでしょう。もちろん「ツチノコみたいなもの」と「ツチノコ」はイコールではないので、その差は明確に示されなくてはいけません。

 

どちらの方法が良い悪い、というつもりはありません。ただ、近年は、競争やら特許やら、スピードが色々と要求されるので、後者のほうが前に出てくることが多いのではないかと思います。そして、そのような状況では、「ツチノコを見つけた」のか「ツチノコ(みたいなの)を見つけた」のか「ツチノコ(みたいなのがいる場所)を見つけた」のか、受け手(研究であれば、その分野の個々の研究者)は、常に気をつけないといけないと思います。

 

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[ 2014/03/15 23:15 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(-)
 

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Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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