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アサコールの名前の由来 はてなブックマーク - アサコールの名前の由来

ここ数週間で、アサコールという薬の名前をよく見かけるようになりました。先日行われた自民党総裁選挙がきっかけです。

 

総裁選候補者(で、総裁職に当選した)である安倍晋三氏が、40年来の持病であった潰瘍性大腸炎をアサコールで克服できたと語りました。安倍氏が総理大臣職を辞任せざるを得なかったのは、潰瘍性大腸炎の急激な悪化でした。その病気を克服させ、政治の大舞台に復帰させた薬ということで、マスコミやネットがアサコールの名前を大きく取り上げたのです。

 

アサコール(ゼリア薬品、主成分 メサラジン)は、潰瘍性大腸炎の治療に用いられる薬です。アサコールは、スイスのTillotts Pharma AG社で開発されました。新薬と言われていますが、それは日本での話(日本ではゼリア薬品工業から2009年に発売)。海外では1984年に承認され、60を超える国や地域で使用されています。

 

アサコールの名前の由来

5-アミノサリチル酸(5-aminosalicylic acid:5-ASA)の略号である“ASA”と大腸の英語colonの最初の3文字“col”を組合せて命名された。(ゼリア薬品工業、インタビューフォームより)

 

5-アミノサリチル酸は、アサコールの主成分であるメサラジンの化学名です。大腸の病気に効果がある5-アミノサリチル酸というわけです。

 

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に激しい炎症によって、血便や下痢、腹痛などの症状を起こします。炎症により大腸の粘膜細胞が障害を受け、出血や水分吸収能力の低下により下痢が起こります。潰瘍性大腸炎には、症状が激しく起こる状態(活動期)と静まっている状態(寛解期)が繰り返して起こり、活動期ー寛解期ー再燃による活動期、、を繰り返します。

 

大腸における炎症の原因がよくわかっていないことから、潰瘍性大腸炎を完全に治癒させる薬剤はありません。アサコールの主成分であるメサラジンは、大腸の炎症を抑制する作用を持っています。しかし、炎症を引き起こす原因を取り除くわけではありません。というわけで、アサコールも含め現在用いられている潰瘍性大腸炎治療薬は、対症療法的に活動期の症状を鎮めて寛解期に誘導し、寛解期の維持させるための薬です。アサコールは、重症を除く潰瘍性大腸炎患者さんに用いられています。

 

アサコールの主成分であるメサラジン自体は、古くから潰瘍性大腸炎の治療に用いられてきました。アサコールは、メサラジンを大腸まで効率的に送り届けるために錠剤に工夫を加えた薬剤です。

 

飲み薬としてメサラジンを服用した場合、メサラジンは大腸に届くまでに通り抜ける消化管で分解・吸収されます。大腸は消化管の中でも一番口から遠い部分にあります。そのため、メサラジンの効果を出したい大腸に届くまでにメサラジンの量が激減してしまい、薬剤の効果が発揮できません。この問題点をふせぐため、錠剤に工夫を加えた薬剤がアサコールです。

 

アサコールでは大腸にとどくまでメサラジンが錠剤から溶け出さない工夫がされています。アサコールの錠剤は、中性条件(酸性、中性、アルカリ性、の中性)でメサラジンが溶け出す仕組みになっています。酸性条件(胃の中)、アルカリ性条件(小腸の中)では、メサラジンが溶け出しません。小腸を通り抜けたあと、中性条件になったときに初めてメサラジンが溶け出すことにより、胃や小腸での薬のロスを防ぐことができるのです。

 

アサコールは、ちょっとした工夫で、薬の効力を上げるという手法でできた薬です。その「ちょっとした工夫」というのが、思いつくのも実現させるのも難しかったりするのですけどね。

 

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[ 2012/09/30 09:23 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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