薬作り職人のブログ

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「欲」を抑える薬。 はてなブックマーク - 「欲」を抑える薬。

ここ数日、FDA(アメリカ食品医薬品局)から、抗肥満薬の承認が相次いで発表されました。

 

ひとつは、 ロルカセリン(アリーナ・ファーマシューティカル、エーザイ、商品名 BELVIQ)。ロルカセリンは脳内のセロトニン受容体(5HT2c受容体)を刺激する作用を持ちます。このような薬剤を5HT2cアゴニストと呼びます。動物において、5HT2c受容体は摂食行動(餌を食べる行動)に関与することが知られており、動物に5HT2cアゴニストを投与すると、餌を食べる量が低下します。これをヒトにも適応すれば体重減少薬として用いることができるのでは、ということで、臨床試験が行われました。その結果、体重減少作用が認められ、無事新薬開発のゴール地点(承認)にたどり着いたというわけです。

 

もう一つは、食欲抑制剤のフェンテルミンと抗てんかん薬トピラマートの配合剤(Vivus社、商品名 Qsymia)です。フェンテルミンは、脳に働いて食欲を抑制する作用があることが古くから知られていました。一方、トピラマートは、抗てんかん薬として使用されるうちに副作用として食欲減少が確認されました。これらの2つの薬剤を組み合わせることで、効果的な食欲抑制剤が開発できるというアイデアから、臨床試験が行われました。その結果、こちらも無事ゴールに辿り着いたというわけです。

 

この2剤は、ともに食欲を抑制させる薬です。数ある薬の中でもヒトの「欲」を減少させる薬というのは少なく、作りにくいものなのだと思います。「欲」というのは、本来、必要だから出てくるもの。肥満の人にとっては、それは体にとって良くないものではありますが、それが出てくるための何らかの必要性(環境要因など)はやはりあるのだと思います。

 

必要なものを無理やり抑制するのですから、精神活動のなかでなんらかの反動が出てきそうな気がしてなりません。FDAにより承認されたということは、とりあえず臨床試験の段階では、薬剤のベネフィットを上回るリスクは生じなかったということです。しかし、今後、多くの患者さんに使用されると、なんらかの影響が生じる可能性は否定できません。

 

「食欲」というものは、本来は薬で捻じ曲げるものではなく、自分の意志なり他者からの働きかけによって、ゆっくりとコントロールすべきものだと思います。その余裕もないほど追い詰められた肥満社会がアメリカなのかもしれません。

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[ 2012/07/19 21:53 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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