薬作り職人のブログ

新薬のアイデアを考える人から見たいろんな話。

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新しい後発品使用促進策。 はてなブックマーク - 新しい後発品使用促進策。

先日、学会に行っていろんな人とお話ししてきました。会場のロビーで、厚生労働省に勤めている先輩にたまたま出会い、あいさつする機会がありました。「この度、人事異動で企画部門に転出する」と先輩に伝えると、「出世やなぁ」なんていわれてしまって、なんかこそばゆい気分(異動先では一番下っ端みたいなものなんですけどね)。

そんな中、雑談がてらにいろんな話を聞きました。中でも面白かったのがジェネリック医薬品にまつわる話。

ジェネリック医薬品というのは、特許が切れた医薬品について他のメーカーが製造販売しているもの。新薬開発メーカーは多額の研究費を使い新薬を開発し、その特許が守られている間は高い値段(薬価)で収益を得ています。しかし、特許が切れた瞬間から、他のメーカーが一斉に同じ成分の薬を製造販売することができるのです。ジェネリック医薬品の元となる新薬を先行品、ジェネリック医薬品を後発品、とも呼んでいます。後発品には研究開発費は殆どかかっていないため、先行品に比べ圧倒的に安い値段で販売することができます。

現在、多くの薬で先行品と後発品が混在する状態が起こっています(つまり同じ成分に複数の銘柄があって、かつ値段が違う)。そのため、厚生労働省とか財務省とかは、医療費抑制のために、値段の安い後発品の使用を推進させるための方策を色々考えています。しかし、様々な要因があって、先発品から後発品へのシフトがなかなか起こっていないのが現状です。

で、先輩から聞いた話によると、後発品使用促進策として、今水面下で注目されている案が一つあるそうです。先輩曰く、「これは実現可能性が結構高い」のだそうです。

その案を聞いて、「なるほど」と思いました。

その案とは、「値段が高い先発品に関しては、薬の味を苦くする」というのです。薬の苦味というのは、患者さんにとっては非常に薬を使いにくいものにします。製薬会社での製剤部門では、苦味を消すためにいろいろな工夫(錠剤、散剤のコーティング、カプセル剤)をしているくらいです。そこを逆手にとって、「苦味をつけたら先発品を選ばなくなるだろう」というのです。

苦味を付けるための方法としては、生薬の中でも苦いことで知られる「センブリ」中の物質「アマロスエリン」を適当量配合することが考えられています。アマロスエリンは、天然物の中でも最強の苦味を持つことが知られています。アマロスエリンは、野生動物による樹木への食害防止などへの応用も考えられているほどで、その強力さは実証済。


「先発品にはアマロスエリンの配合を義務付け、後発品には使用しない」ことで、「先発品は苦くてものすごく飲みにくい」というイメージを与え、同じ効能を持ちかつ飲みやすい後発品の使用量が増えるとの目論見のようです。

先発品の開発会社にとっては、まさに苦虫を噛み潰したように感じる案。とりあえず、導入に当たって厚生労働省は「昔から、良薬は口に苦しと言うじゃないですか」なんて感じで先発品会社を説得しようとしてるみたいです。ただ、そんなことを後発品の会社が聞いたら「うちの薬だって良薬だ」と、後発品にもアマロスエリン配合を主張するかもしれません。

どの程度のアマロスエリンを配合するかについては、厚生労働省の担当者が判断するとのことです。どれくらいの苦さまでなら耐えられるか、担当者が自分の舌と身をもって判定するとのこと。誰を担当者として選ぶのか、まさに苦渋の選択といえるんじゃないかと思います。

先輩によれば、「これはあくまで試案レベルだから」とのことですが、先輩自身が担当者になりうるという不安感のためか、苦々しい顔をしてたのがとても印象的でした。

この案が公になった時の、世の中の人達の反応がちょっと楽しみですね。

追記:今日は4月1日であります。もちろん、4月1日のみ有効のネタであります。
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[ 2012/04/01 20:12 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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