私には、中学生の息子がいます。息子に見せてもらった理科の問題集に、こんな問題がありました。
「2種類の白い粉、AとBがある。A、Bは、食塩か砂糖かのいずれかである。白い粉A,Bが何であるかを調べるためには、どのような実験をして、どのような結果が出ることを確かめればよいか。
使用する手段を問わなければ、ものすごくたくさんの手法があると思います。ここは、中学生が習ってるレベルの範囲で考えるとすると。。
息子が考えた答えは「粉の水とお湯に対する飽和水溶液を作る。食塩は、水でもお湯でも飽和に達するに必要な食塩の量は変わらない。砂糖は、お湯の方が飽和に達するのに多くの粉を必要とする」というもの。
教科書にも書いてあるのですが、食塩は水でもお湯でも溶ける量はほとんど変化しないのに対し、砂糖はお湯のほうが水よりも沢山の量を溶かすことができます。砂糖がお湯に溶けやすい、というのは、熱いコーヒーに砂糖がどんどん溶けることを考えるとイメージしやしと思います。息子の答えは、この事実をうまく使った良い答えだと思います。
あえて、この方法での難点を言えば、調べるために沢山の量の粉が必要になるってことでしょうか。溶かす水の量を減らせば粉の量は節約は出来ます。とはいえ、食塩(塩化ナトリウム)は10gの水に3.5g(25℃)、砂糖(ショ糖として)で21g(20℃)溶けます。きちんとした実験をしようと思えば、それなりの量の粉を用意しないといけないようです。
私が思いついたのは、燃やしてみる。問題集の解答もこれでした。食塩は無機物、砂糖は有機物。有機物である砂糖は熱すると炭化して黒くなりますが、食塩は熱しても変化しません。問題集にこの答えが載っているのは、「無機物・有機物の性質を理解させたい」ということと、「少量の粉を使ってすぐ結果が見れる方法」ということなのでしょう。
ちなみに、私が大学の時に受けた分析化学の授業では、担当の助教授の先生が「なめる」という方法を主張しました。本来は「正体がわからない粉はなめてはいけない」のですが「食塩か砂糖のどちらかとわかっている、という前提ならなめてもいいんだ」という見解でした(もちろん冗談でしょうが)。
どの答えでも、たぶん先生は○をくれると信じたいのですが、さてどうなのでしょう。。
さて、今回の問題のように、「一つのことを調べるのに、いろんな方法がある」場合には、それらの方法にどのような特徴があるか、どのような長所と短所があるのか、どのような場合に適応できるのか、ということが理解できていると、どの方法を用いれば良いかが選びやすくなります。
また、「この2つの粉が塩や砂糖のいずれか」とわかっていなかったとしたら、どれか一つの方法で答えを得ることは出来ません。未知の粉の正体を突き止めるには、息子が考えたような定量的な方法と、教科書の答えや大学の先生が言ったような定性的な方法の2つを上手いこと組み合わせる必要があります。
「それぞれの方法の特徴を踏まえた上で、適切な方法を選び、組み合わせ、筋道だてて説明する」という能力が、最終的に(実社会で)必要とされる能力なのだと思います。
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