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ストラディバリウスの音色と先入観。 はてなブックマーク - ストラディバリウスの音色と先入観。

先入観は人の判断力を鈍らせる、ということはよく言われます。

先日、その先入観と判断力に関して、興味深い論文が発表されました。バイオリンの名器「ストラディバリウス」の音が素晴らしく聞こえるのは、実は先入観のせいではないか?というのがその論旨です。

Player preferences among new and old violins
Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Jan 33 [Epub ahead of print]



ストラディバリウスは、その素晴らしい音色から数億円もの価値があるとされています。ストラディバリウスの素晴らしい音色のメカニズムが一体何なのか、については、いろいろな要因が考えられています。しかし、その大前提である「ストラディバリウスの素晴らしい音色」が「本当に素晴らしいものなの?」というところに注目したのがこの論文です。

「ストラディバリウスの素晴らしい音色」の素晴らしさというのは、どうやって決まったのか。考えてみると「素晴らしい音色」を絶対量を用いて定義する(例えば、測定器を用いて点数をつける)というのは困難な作業です。となると、「素晴らしいかどうか」を決めるには、「他の楽器と比べてどうか」という相対比較をせざるを得ません。ストラディバリウスが作られた時代から現在まで、多種多様な楽器たちと比較されて、ストラディバリウスが「一番良く聞こえる」から「素晴らしい」という位置づけを得た、ということです。

しかし、そこには、先入観が入る余地があります。

私たちの実験の世界でも、先入観があると実験結果を謝って解釈してしまうことがあります。というわけで、先入観をできるだけ実験に紛れ込ませないように、いろんな工夫をしています。

その中の一つに、ブラインド試験という方法があります。あるものを評価する際に、実験者(観察者)の主観が入らないよう、自分が評価するものが何なのかをわからないようにしてしまう、というやり方です。たとえば、動物に薬を飲ませる人と、動物の測定をする人を別々にしてしまえば、測定する人は「薬を飲ませた動物を評価しているのか、飲ませていない動物を評価しているのか」かはわかりません。こういう実験では、先入観が入る余地は少なくなります。

今回の論文でも、このブラインド試験を用いた実験が行われました。21人のバイオリニストに、どのバイオリンが用いられているかがわからない状態で、ストラディバリウスと、新しい高級バイオリンの音を聞き比べてもらうという実験です。

その結果、以下の結果が得られました。
・バイオリンの古さや金銭的価値と、バイオリニストの評価結果には相関がない。
・ほとんどのバイオリニストは、気に入った音のバイオリンが、ストラディバリウスか新しいバイオリンかを正しく言い当てることができない。

つまり、先入観なしで音を聞き比べると、ストラディバリウスの音が必ずしも優れているとはいえない、ということです。また、バイオリニストの好みの音というのは、バイオリンの種類で決まってるわけでもない、という結果とも考えられます。

もちろん、ストラディバリウスがよい音を出す楽器である、というのは間違いないことなのでしょう。たとえば、初心者用の安物のバイオリンとかと比べれば、全く異なる音なのだと思います。しかし、ある一定以上のレベルで製造されたバイオリンになると、バイオリンの年代の違いや作った人による音の違いというのは、音の良さという意味では余り反映されないようです。

このような結果を見ると、バイオリニストが好む(つまり優れたと思う)音が、いったいどういう要素で構成されているのか、というのを調べることが、まずやらなくてはいけないことのような気がします。その要素が、個々の楽器の音にどれだけ含まれているのか、というアプローチが必要なのでしょう。



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[ 2012/01/05 23:32 ] ひとりごと | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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