薬作り職人のブログ

新薬のアイデアを考える人から見たいろんな話。

スポンサーサイト はてなブックマーク - スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

薬の値段と仕分け。 はてなブックマーク - 薬の値段と仕分け。

今年も仕分けの季節がやって来ました。今日、議題に上ったのは「薬の値段」について。

医療介護CBニュース
長期収載品の大幅引き下げを- 提言型政策仕分け

 政府の行政刷新会議(議長=野田佳彦首相)は22日、「後発医薬品の使用促進など薬の有効な使用策」をテーマに「提言型政策仕分け」を行い、「(物質特許が切れ、既に後発品が発売されている)先発医薬品(長期収載品)の薬価について、後発品薬価を目指して大幅に引き下げ、国民の医療費の支出の負担を最小限にすべき」と結論付けた。また、先発品と後発品の薬価の差額の一部を自己負担とすることや、医師、薬剤師が先発品、後発品のリストを患者に提示することを義務付けることなどを検討するよう厚生労働省に提言した。



新薬は、製薬会社が、長い年月と巨額の費用と数えきれない失敗の山の果てに世の中に送り出します。新薬を開発する際には特許を申請し、同じ構造の化合物が他の会社によって商品にされないように(要は勝手にコピー商品を作られないように)しています。しかし、特許というのは、ある一定期間が過ぎると効力がなくなります。そうなると、どの会社でも新薬と同じ構造の化合物を商品として売り出すことができます。このような薬を「後発品」と呼んでいます。

「先発品」というのは、「後発品」がでた段階で、後発品の元になった新薬に付けられる呼び名です。後発品より先に発売された薬ってことですね(どんな新薬でも特許はいつか切れるので、先発品としてのキャラクターを有しているのが普通です)。で、新薬が先発品とよばれるには、特許が切れるまでの期間だけ時間がかかります。大体、新薬が発売されてから10年くらいの期間でしょうか。つまり、先発品と呼ばれるようになった薬は、世の中にそれなりに長い間使われた薬ということにもなります。このため、先発品は「長期収載品」とも呼ばれます。

さて、お薬も商品なので値段(薬価)がついています。新薬の薬価は、基本的に研究開発費プラス新薬としての優れた性能に対するボーナスポイント(加算)が考慮されて付けられます。多額の研究開発費が新薬開発にはかかっているので、薬価もそれらを反映してそれなりのお値段になります。新薬の薬価は、2年に1回の薬価改定で段階的に下がっていきますが、長期間たったとしてもそれなりの薬価が得られるような仕組みになっています。

一方、後発品に関しては、新薬と比較すると研究開発費はほとんどかかりません。したがって、薬を製造する製造コストだけがベースになるので、先発品に対して薬価は非常に安くなります。

さて、高齢化社会が進んで、国の予算における医療関連の支出が年々すごい勢いで増加しています。そして、その中で大きな割合を果たすのが、薬剤費。つまり、保険で支払われる薬の代金です。

限られた予算の中で、医療関連の支出を抑制することが強く要請される中、薬剤費が削減のターゲットとなるのは必然のこと。そのため「後発品が存在する薬については、先発品よりも圧倒的に値段が安い後発品を使うようにしよう」という方針が掲げられるようになりました。

ここ数年でも、いろいろな方法を使って後発品使用を増やそうとする試みが行われています。しかし、後発品の使用率はなかなか上がらず、薬剤費の抑制につながるところまではまだまだ至っていません。

今回の仕分けでは、そのあたりに業を煮やした(?)仕分け人から、いろんな提言をいただけたようです。とはいえ、その中身をみると、なにか中途半端な感じもします。

後発品を使ってもらうようにするため、「先発品の薬価について、後発品薬価を目指して大幅に引き下げる」「先発品と後発品の薬価の差額の一部を自己負担とする」、、まるで、先発品の高薬価は「悪」で、先発品を使った場合にはペナルティを課す、かのような感じです。

確かに、現在の状況では、長期間高い薬価を維持してきた薬剤については、どこかで値段を下げないといけないとは思います。しかし、後発品レベルまで先発品の薬価を引き下げるとするのならば、わざわざ「後発品」という分類を用意しなくてもよいのではないかと思ったりします。

もちろん、後発品の中には、単なる先発品のコピーではない薬も存在します。薬の錠剤に工夫をして飲みやすくしたり、先発品メーカーが考えつかないような工夫が加わった後発品も存在します。そういう薬については、薬価という点を含めてきちんと評価されるべきです。

しかし、何の工夫もない単純な先発品のコピーである後発薬と先発薬を、薬価を含めて全く同じレベルの薬として扱うとなると、やはり何か抵抗を感じたりします。

自分の頭の中にある妄想としては

「 単なるコピー薬である後発品をなくして、特許満了した新薬は今の後発品の値段に下げる。同一成分で薬剤を作りたいなら、製剤なんなりで新規性を持たせることを必須とする」

というのが一番スッキリしています。もちろん、現在、後発薬製造メーカーはたくさんあって、すでに医療制度に組み込まれてしまっています(そしてその中で工夫ある後発薬が作れるメーカーがどれだけあるのか、、)。この業界の構造をきちんと整理しないと、上に書いたような妄想が実現することはないとは思います。

要は、先発品を後発品と値段の上でも同等に扱うということを本気で考えるということであれば、後発品の位置づけについての再整理を、行政がきちんとすることが必須であると考えます。

↓↓いつも応援ありがとうございます。m(_ _)m↓↓。
人気ブログランキングへ

人気ブログランキングへ(モバイルの方はこちらから)
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ 2011/11/22 22:56 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(-)
 

スポンサードリンク

この日記のはてなブックマーク数

このブログが生まれて
最近のコメント
プロフィール

薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


薬&提灯 詳しくは
病院でもらった薬の値段
http://kusuridukuri.cho-chin.com/

お薬の名前の由来
http://drugname.onmitsu.jp/

ミニ提灯データベース
http://kentapb.nobody.jp/
でどうぞ。


本ブログに関するご質問・ご意見などはこちらまで↓
ご使用の際は、@マークを半角に直してください。

kentapb@gmail.com

トラックバック


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...