薬作り職人のブログ

新薬のアイデアを考える人から見たいろんな話。

スポンサーサイト はてなブックマーク - スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

2011年度ノーベル生理学医学賞発表! はてなブックマーク - 2011年度ノーベル生理学医学賞発表!

本日、2011年度のノーベル生理学医学賞が発表されました。

受賞対象と受賞者は以下のとおりです。

「自然免疫機構の活性化に関する発見」で、アメリカ・スクリプス研究所のブルース・ビュートラー教授とフランス・ストラスブール大学のジュール・ホフマン教授。

「樹状細胞の発見と獲得免疫における樹状細胞の役割の発見」で、ロックフェラー大のラルフ・スタインマン教授。

追記
ラルフ・スタインマン教授は、9月30日に亡くなっていた、との発表が、ロックフェラー大学からありました。ノーベル賞は、発表時点で生存していることが受賞条件なので、スタインマン教授の受賞が取り消される可能性もあります。

http://newswire.rockefeller.edu/?page=engine&id=1192

追記の追記
ノーベル財団は、スタインマン教授の受賞は取り消さないと発表しました。よかったです。


というわけで、今年は、免疫学分野での受賞となりました。

免疫というのは、生物が自分にとっての異物(細菌やウイルス、移植組織など)を感知し、防御、排除するための仕組みです。その免疫機構の中でも、受賞対象の説明の中にでてくる「自然免疫」と「獲得免疫」という言葉の意味は以下のとおりです。

自然免疫というのは、生体内に侵入してきた異物に対して働く、最初の防御機構です。この自然免疫の仕組みがあるからこそ、私たちは微生物やウイルスだらけの世界で普通に生きていくことができます。

一方、獲得免疫というのは、一度体内に侵入してきた異物を記憶し、同じ異物が2度目に侵入してきたときに効率的にこれらの異物を排除するための仕組みです。獲得免疫は、私達が感染症にかかっても、一度かかればその病気にかかりにくくなる抵抗、という仕組みの根底にあるものです。

今回のノーベル賞は、これら「自然免疫」「獲得免疫」において、「生体にとっての異物を感知する仕組み」を解明したことに対して与えられました。

ビュートラー教授とホフマン教授が発見したのは、自然免疫における異物のセンサーであるToll Like Receptor (Toll様受容体;TLR)。TLRは、免疫細胞の表面に存在し、異物の構成成分(ウイルスのタンパク質とか核酸とか、微生物の細胞表面の物質とか)を認識して結合します。すると、細胞内の情報伝達系のスイッチが入り、異物に対処するための機能が作動するのです。つまり、TLRは自然免疫の機能をONにするスイッチと言えます。

スタインマン教授が発見したのは、異物の見張り番である「樹状細胞」。この樹状細胞は、体内のいろんな臓器に存在し異物を待ち構えています。異物が体内に侵入すると、樹状細胞は異物を飲み込み分解し、ペプチド(タンパク質の分解物)にします。このペプチドは、侵入してきた異物の目印となります。樹状細胞は、獲得免疫の実働部隊であるリンパ球(T細胞、B細胞)に対してこの目印を知らせ(これを抗原提示といいます)、異物がきたことをしらせます。攻撃相手が来たことを認識したリンパ球は、異物に対する防御・攻撃態勢を取ることになります。

これらの「免疫の活性化スイッチ」の仕組みの解明は、お薬作りに対しても、もちろん非常に大きな影響を与えています。

免疫の活性化機構は、生体の防御にとって大事ですが、これが自分の細胞に対して働いてしまうと、自己免疫疾患という病気を引き起こしてしまいます。自己免疫疾患には、有効な薬剤が少なく、難病と呼ばれる疾患が多く含まれます。これらの病気を引き起こす機構の解明は、新薬の開発に必要不可欠なものです。TLRや樹状細胞は、その研究のための基本原理であり、これらの発見がなければ、新薬開発の進展は考えられないくらい遅いものとなったでしょう。

今回の受賞で残念だったのは、TLRについての受賞者として、大阪大学教授の審良静男先生が選ばれなかったことです。もし、今回のノーベル賞が「TLRの発見」だけに与えられていれば、おそらく受賞されていたと思います。ただし、今回は、「樹状細胞の発見」という別項目での受賞が重なったために、「ノーベル賞は一度に3人まで」というノーベル賞の人数制限が壁になった、ということだと思います。

こればかりは、ノーベル賞委員会のさじ加減、本人の力及ばないところ、、ということになりますね。


今持ってる教科書はこれ(原書の方ですが)


↓↓いつも応援ありがとうございます。m(_ _)m↓↓。
人気ブログランキングへ

人気ブログランキングへ(モバイルの方はこちらから)
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ 2011/10/03 21:33 ] ひとりごと | TB(-) | CM(-)
 

スポンサードリンク

この日記のはてなブックマーク数

このブログが生まれて
最近のコメント
プロフィール

薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


薬&提灯 詳しくは
病院でもらった薬の値段
http://kusuridukuri.cho-chin.com/

お薬の名前の由来
http://drugname.onmitsu.jp/

ミニ提灯データベース
http://kentapb.nobody.jp/
でどうぞ。


本ブログに関するご質問・ご意見などはこちらまで↓
ご使用の際は、@マークを半角に直してください。

kentapb@gmail.com

トラックバック


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...