薬作り職人のブログ

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Scaleとセレンディピティ。 はてなブックマーク - Scaleとセレンディピティ。

先日、「組織が透ける試薬、Scale」の記事を書きました。生物の組織標本が透明になってしまう試薬「Scale」についての論文は、Nature Neuroscience オンライン版に掲載されています。

Scale: a chemical approach for fluorescence imaging and reconstruction of transparent mouse brain
(要約とSupplementは無料で読めます)

勤務先で、この論文をざっと読んでみたのですが、Scaleを見出したきっかけは偶然の出来事だったようです。偶然の発見を意味する「セレンディピティ」という表現が用いられていました。

Scaleは尿素とグリセロールとTriton Xという3つの化合物を混合した試薬なのですが、この中で透明になる鍵を握るのは尿素です。尿素は、タンパク質を変性させる(タンパク質の立体構造を変化させ、機能を失わせる)働きを持ち、生物系の実験室でよく用いられます。

論文によると、この尿素の溶液が、たまたまPVDF( polyvinylidene fluoride )という物質で出来た膜にかかったのだそうです。このPVDF膜は、Western blotting法などの実験で用いられる、これもまた生物系の実験室ではありきたりの道具です。PVDF膜に尿素がかかると、この膜は透明になりました。

透明になったPDVF膜の写真は、Supplement(リンク先はpdfファイル)に載っています。

これを見て、これは組織標本の透明化にも使えるのはないか、というアイデアが起こり、細胞に尿素を染みこみ安くするためにグリセロールやTritonXを加え、見事Scaleが誕生したというわけです。

この論文には、Scaleの組成も書かれています。ものすごく単純な組成で、すぐにでも実験室で安価に作れるレベルの試薬です(もちろん、標本によって、組成の微調整はしなくてはいけないかも知れませんが)。

これまでにも、透明化試薬がないわけではなかったのですが、蛍光がうまくでなかったり、値段が高かったり、色々と使いにくい所があったようです。そんな中、偶然の発見から安価で便利な試薬がつくれるっていうのを見ると、やはり実験ってのはおもしろいな、と思います。

Scale作って、実験室のPVDF膜にかけてみようかな。




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[ 2011/09/08 23:46 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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