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「ヒ素をDNA中に取り込む微生物」の予想・解説サイトをまとめてみた。 はてなブックマーク - 「ヒ素をDNA中に取り込む微生物」の予想・解説サイトをまとめてみた。

今週末、私が個人的に楽しんだネタは、NASAが行った「宇宙生物学上の画期的な発見」についてのネット上での盛り上がりでした。この発見についての個人的感想は、この記事の最後に書きますが、とりあえずは経緯をまとめてみました。

最初にこの話題を見かけたのは、Twitterで見かけたNASAの記者会見の発表。

NASA Sets News Conference on Astrobiology Discovery; Science Journal Has Embargoed Details Until 2 p.m. EST On Dec. 2

「NASAは、宇宙生物学的発見についての記者会見を開く;詳細は12/2まで公開せず」という表題の中の、「宇宙生物学的発見」という文字が、ネット中を盛り上げました(そういえば、研究所の中ではネタに出なかったな。。)

原文には、「to discuss an astrobiology finding that will impact the search for evidence of extraterrestrial life」とあります。「地球外生命の証拠の探索にインパクトを与える宇宙生物学的発見」ということなので、「地球外生命の発見」自体が発表されるわけではないんだろうな、とは思いました。

しかし、この発表ではじめて聞いた「宇宙生物学」(astrobiology)なる言葉は、宇宙における生物の起源・進化・分布・将来を研究する学問」。そのカバーする範囲があまりに広いため、私には、何が発表されるか全く想像もつきませんでした。

そんな中、次に見かけたサイトは、その発表内容を大胆に、しかしそれなりの根拠を持って予測したサイト。

[地球外生命体] NASAの会見内容を予想してみる

「今年までNASAの研究員として在籍していた」研究者の方が、記者会見のサイトに載っている出席者から、記者会見の内容を予測した(もちろん「個人の予想」として)ものです。

この方の予想では、「以下の3つのうちのどれか」だと考えられるとのことでした。

1. 地球上において、ヒ素をDNAの部品として利用する微生物が発見された。

2. ヒ素をDNAの部品として利用する微生物を人工的に作り出した。

3. 隕石から、ヒ素を含んだDNA(あるいはRNA)が発見された。



出席者のなかに「ヒ素をDNAの中に持つような生物の探索や、そのような生物を人工的に作り出そうとして」いる2人の研究者がいる、というのが、この予想の根拠とのこと。

恥ずかしながら、ヒ素とDNAというキーワードをつなぐのがリンだ、ということも、私はこの記事からはじめて知りました。

リンは、DNAの構成要素である「塩基」が、DNAの2重らせん構造を構成するために欠かすことが出来ない「ホスホジエステル結合」を作り出すために必須の原子です。

「このリンとヒ素は、原子の大きさがにているので、リンの代わりにもなるのではないか」というのが、この記事で書かれているNASAの研究者の考えでした。

そして「DNAに必須と考えられていたリンが、実は他の原子に置き換えが可能」ということであれば、生物学者が当たり前のように思っていたDNAの概念が覆され、これは生物学的に大きな意義を持つだろう、という記述で、この予想は締めくくれられています。

さて、予定されていたNASAの記者会見はどうだったか。。。。

見事、上記の予想記事は当たりました。正確には、予想の中の「1」についての論文が、科学雑誌「サイエンス」に発表されたのです。

論文の内容については、以下の2つのサイトが、くわしくかつ非常に分かりやすい解説を載せています。

生物学的視点の解説としては、このサイト。
I’m not a scientist.
<速報>リンの代わりにヒ素をDNA中に取り込む微生物が見つかった

背景知識、「DNA中のリンがヒ素に置き換わっている」がなぜ驚きなのか、これからこの発見がどのように発展していくか(学問的には、ここが一番大事かな)が、箇条書きでシンプルに説明されています。生物学を研究してる人にとって、この発表がどれだけエキサイティングなものか、が、シンプルな文を見てるだけで伝わってきます。

また、サイエンスに掲載された論文の実験データについても、ちょっと専門的ではありますが、簡潔に箇条書きでまとめられています(月曜日まで、私は論文が読めない環境なんで、これはすごい助かりました)。この内容については、私も論文が手に入ったらじっくり読み込んでみたいと思います。

化学的視点の解説としては、このサイト
有機化学美術館・分館
「ヒ素生物」の衝撃

このサイトの目玉は、分子構造を描いた美しいCGですが、この記事のDNA2重らせん構造のCGをみたら、ヒ素とリンが入れ替わるってことはどういうことか、ひと目でわかります。また、ヒ素の毒性のメカニズム、ヒ素とリンが似てるといってもどこが似ててどこが違うのか、化学者の視点から見たこの発見の意義、などもりだくさんの内容です。

というわけで、今回の「宇宙生物学的発見」についてのサイトを3つ紹介しました。

最後に、この発見について、私からもひとこと書いておきたいと思います。

今回の発見においては、細胞にとりこまれたヒ素が既知の生体分子(特にDNA)にとりこまれ、正常に機能しているらしい、ということが示されました。

ここまでの記事では、DNAが注目されていますが、薬の作用を研究する薬理学の立場からすると、生体内のリンの役割としてはDNAよりも、ATPやcAMPとよばれる、細胞内の情報伝達に関わる分子の方にどうしても目が行きます。

ATPやcAMPは、タンパク質のリン酸化という生化学反応を介して、生体内の様々な生理作用のスイッチをオンにしたりオフにしたりします。このオンオフに関与するリン酸化反応は、その名のとおりリンが含まれるリン酸を介して起こります。

この反応すらヒ素で置き換えられるとするならば、生物の生きている仕組み自体をひっくり返す、本当にものすごいことになると思います(もちろん、DNAにはとりこまれるけれども、タンパク質のリン酸化反応はもともと体内に持ってるリンでまかなっているという可能性のほうが高いと思うのですが)。

有機化学美術館の記事によると「リン化合物を前提とした既存の機器では解析できない部分も数多くあると思われ、研究はちょっと難渋するかもしれません」とのことなので、薬理学的なところについての研究はまだまださきのことになるかも知れません。まぁ、それはそれで、楽しみは先に取っておくみたいな感じで、おもしろくもあるのですけれどね。



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[ 2010/12/04 23:12 ] ひとりごと | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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