薬作り職人のブログ

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βアミロイドが脳に入った話。 はてなブックマーク - βアミロイドが脳に入った話。

アメリカの学術雑誌「サイエンス」に、「アルツハイマー病の原因とされるβアミロイドという物質を、マウスの脳以外の部位に投与してもアルツハイマー病を発症させることができる」ことをしめした論文が掲載されました。

Peripherally Applied Aβ-Containing Inoculates Induce Cerebral β-Amyloidosis

アルツハイマー病は、脳の神経細胞が何らかの原因で編成し、記憶・学習機能が傷害されて痴呆を起こす病気です。アルツハイマー病の原因物質の一つとして、βアミロイドという物質が知られています。

βアミロイドは、アルツハイマー病患者の脳でかたまり(凝集)をつくり、蓄積します。この凝集したβアミロイドが神経細胞に害を及ぼすのか、凝集するまでの間に神経細胞を傷つけるのかはよくわかっていません。いずれにしろ、βアミロイドの産生を押さえることで、アルツハイマー病における神経障害が抑制できるのではないか、というアイデアは昔からあり、現在、製薬会社ではβアミロイド産生を抑制する薬剤の開発が行われています。

このβアミロイド産生を抑制する薬剤の開発において、興味があるのは、βアミロイドが体内のどこで作られるのか、ということです。脳の中でβアミロイドがつくられ、それが直接神経細胞を傷つけるいうのは自然な考えです。しかし、脳の外で作られたβアミロイドが血液に乗って脳に達し、神経細胞にとどけられることで神経細胞に影響を与えるということはありえます。

βアミロイドはペプチドという物質です。生体内にはいろんなペプチドがありますが、一般的にペプチドは脳の外から投与しても脳の中には入りにくい(血液脳関門)とされています。

今回の論文は、脳の外からβアミロイドを投与したところ、このマウスはアルツハイマー病の症状を発症したと報告しています。つまり、普通のペプチドとはことなり、βアミロイドは血液から脳の中に移行できるということです。今回の論文では、βアミロイドがなんらかの特別な経路を介して脳の中に輸送される可能性が示されたことになります。

今回の報告が、アルツハイマー病治療薬の開発に即応用できるわけではありません。しかし、このような基礎的な発見がたくさん起こることで、それらの発見を組み合わせ、あたらしい薬剤開発の戦略を立てることができるようになるのです(論文の著者の中には、製薬会社であるノバルティス社の研究者もいます)。

これからも、世界中の研究者の活躍に期待したいです。



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[ 2010/10/24 00:40 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


薬&提灯 詳しくは
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