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トムソン・ロイターのノーベル賞予想(薬作り関連) はてなブックマーク - トムソン・ロイターのノーベル賞予想(薬作り関連)

ノーベル賞発表の時期となりました。理系分野では、10/4の生理学・医学賞を皮切りに、10/5の物理学賞、10/6の化学賞の順番で、連日発表が行われます。

で、この時期になると誰がノーベル賞をとるんだろう、なんて予想が、あちこちで行われています。中でも、学術論文の引用データなどを元にしたトムソン・ロイター社のノーベル賞予想は、毎年注目を集めます。

21名の新たなノーベル賞有力候補者を発表

この予想を見ると、科学の世界でノーベル賞級の業績というのがどんなものかというのがわかります。予想が当たるかどうかはともかく、業界の人間としては、これくらいのインパクトがあることをやんないとノーベル賞はもらえないんだなぁというのが実感できます。

私の専門である薬作りの分野に関する予想は、生理学・医学賞の3つと、物理学賞の1つ、化学賞の2つ。もともと薬作り(というか生物学の世界)は、いろんな分野の技術を総動員する学問。というわけで、理系のノーベル賞のいずれの分野でも、薬作りに関連する項目がひっかかることが多いです。

以下、薬作りの分野に関する予想を簡単にご紹介

生理学・医学賞
1)幹細胞の発見、および人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発
これは、いわずもがな。京大の山中先生の大きな業績です。動物の体細胞(例えば皮膚の細胞)に4つの遺伝子を入れることで、体細胞を全身の様々な臓器に変化させることができる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成することができることを発見しました。再生医療への応用が盛んに研究されていますが、薬作りにおいてはヒトのいろんな臓器(例えば心臓の細胞)に対する安全性評価を志向した取り組みが行われています。

2)食欲と代謝の調節ホルモン、レプチンの発見
食欲とエネルギー消費のコントロールをするホルモン「レプチン」の発見は、生活習慣病の原因となる「病的な肥満」に対する創薬アプローチにも大きな影響を与えました。個人的にはノーベル賞としてのインパクトはちょっと小さいかも、、という気はします。

3)免疫応答の主要な調節因子である樹状細胞の発見
樹状細胞は、生体外の異物を探知し生体内の免疫系細胞を始動させる働きをもつ細胞です。樹状細胞は生体内に侵入した異物を細胞内に取り込んで分解し、この異物の破片を細胞表面に提示します(抗原提示)。この抗原提示が、免疫系細胞のスイッチを入れる大元になるのです。樹状細胞は、免疫の調節異常の引き金を引く細胞であり、免疫異常疾患関連の薬作りに携わる人間にとっては非常に重要なものです。

物理学賞
1)表面プラズモンなど、サブ波長格子アレイからの光透過に関する研究
これは物理学の範疇なので、理論の詳細は説明できません。ただ、表面プラズモンの原理を用いた測定機械は、薬と生体分子がくっつくかどうかを調べるためには今や必須の道具となっています。

化学賞
1)遺伝子発現差異研究における革新的ツール、DNAマイクロアレイの発明と応用
DNAマイクロアレイというのは、ガラスやシリコン製の基盤上にDNA分子を高密度に配置したもので、遺伝子を捕まえるためのプローブが基板上に1000種類~数万種類のっています。病気の細胞でどのような遺伝子に変化が起きているか、薬によってどのような遺伝子に変化が起きているか、を、1000種類~数万種類の遺伝子について一気に調べることが出来ます。正直言って「マイクロアレイがないと、薬作りのネタがみつからない」なんて感じのインパクトがある技術です。

2)がん治療の改善における重要な貢献である、DNA複製を阻害するインターカーレーターの発見を含む無機生物化学における先駆的研究
これは、DNAインターカレーションを起こす化合物および抗がん剤(例:白金製剤)の作用原理についての研究と発見です。DNAインターカレーションを起こす化合物は、DNAの2本鎖のなかにうまくはまり込んで(インターカレーション)、細胞分裂に必須のDNA合成過程を阻害します。これは、がん細胞の増殖抑制を作用機序とする抗がん剤の開発へとつながりました。

以上、トムソン・ロイター社の予想のなかのいくつかを簡単に説明しました。

いろいろありますが、予想は予想。とくにトムソン・ロイター社の予想は外れるので有名という噂です(笑)。

まぁ、予想というのは「外れるからこそ面白いもの」。来月頭のノーベル賞ウィークを楽しみに待ちたいものです。


日本人受賞者は出るでしょうか。。


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[ 2010/09/23 00:42 ] お薬作りの日記 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

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十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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