薬作り職人のブログ

新薬のアイデアを考える人から見たいろんな話。

スポンサーサイト はてなブックマーク - スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

薬の値段とドラッグラグ。 はてなブックマーク - 薬の値段とドラッグラグ。

ドラッグラグという言葉があります。

世の中には、海外ですでに承認されていても、日本での承認が降りていない薬(審査が遅れているもしくは臨床試験すら行われていない)というのがあります。海外では手にはいるのに、日本では手に入らない、数年~十年くらい遅れて、ようやく手に入る、という状態が、一般的に「ドラックラグ」と呼ばれているものです。

新しい抗がん剤や、患者数が少ない希少疾患に対する薬(オーファンドラッグ)などに、ドラッグラグが多く生じています。これらの薬剤は、個人輸入という形で手に入れるしかなく、患者さんに大きな経済的負担・精神的負担をかけています。

製薬会社としても、海外からのこれらの薬剤の導入に手を出したいのですが、国内での臨床試験の費用と薬から得られる利益を天秤に掛けると、それなりの補助がない限り、なかなか手をだすことができません。薬の開発費の殆どは臨床試験と安全性の確認に費やされているのです(ジェネリック医薬品の価格が安いのは、この過程をほとんど省略できるからです)。

今年からは、このドラッグラグの解消を図るために、薬価(薬の値段)の制度がかわります。「特許が切れてない薬」(新薬メーカーが開発したいわゆる「新薬」)の薬価を高く維持するかわりに、その売上の一部はドラッグラグの解消のために使うこと、という制度が決まりました。ドラッグラグの解消のための取り組み(薬の導入、臨床試験など)が行われない場合は、薬価の一部が会社に入らないというペナルティが与えられるようです。

この制度がどの程度ドラッグラグの解消に結びつくかはわかりませんが(医薬品審査の体制自体が整備されないと、不十分)、少しでも前進するといいな、といいな、とは思います。

ただ、この制度には、製薬会社にとってキツイ一面もあります。

医療費削減の圧力から、薬の値段は発売後、どんどん下がっていきます。大手製薬メーカーの主要な収入源は、利益が確実に出る「特許が切れてない薬」。これらの薬の値段はできるだけ下がって欲しくありません。なので、ドラッグラグの解消と引換に、「特許が切れてない薬」の薬価維持を図る、という手をうったというわけです。

一方、この制度では、特許が切れると同時に薬の値段は大幅にさがります(これまでの値下げ幅より、大きく値下げされます)。このため、製薬メーカーは、「特許が切れてない薬」を次から次へと作らないと、大変苦しい状況に追い込まれます。そして、「新薬」をなかなか出すことができない中小製薬メーカーは、さらに苦しくなると思われます(このような中小製薬メーカーにも、ドラッグラグ解消対策の義務は生じます)。

製薬業界においては、世界的に「新薬」が生まれにくくなっています。この辺の事情は、「医薬品クライシス」という本に詳しく紹介されています。このような状況で、「新薬」に頼らざるをえない薬価制度、そのなかでドラッグラグの解消にも携わらないといけないしんどさ、、

製薬会社が自ら選んだ道だとはいえ、果たして大丈夫なのかな、なんておもいます。少なくとも中小製薬メーカーは、生き残りのため、これまでとは全くちがった方法論をとらないといけないでしょう。「自分で新薬を手がけるのをあきらめ、新薬の種を見つけ、大きな会社に売る」という、ベンチャー的なやり方をメインにする、、というのがさしあたって思いつくところでしょうか。

このあたりは、研究者レベルではちょっとついていけないところもあります。ただ、企業の方針は研究者の研究スタイルを変えることにもなるので、注視はしなくてはいけないと思っています。きびしい2010年代になりそうですが、なんとか乗りこなして行かなくてはいけませんね。





↓↓いつも応援ありがとうございます。m(_ _)m↓↓。
blogranking.gif

人気ブログランキングへ(モバイルの方はこちらから)

薬学関連の学生さん、社会人の方、お気軽に参加を。
ついったー薬学部(薬学関連Twitterユーザーの自己紹介つきリスト)の紹介と入部の仕方。
http://kentapb.blog27.fc2.com/blog-entry-1807.html
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ 2010/02/10 01:08 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

スポンサードリンク

この日記のはてなブックマーク数

このブログが生まれて
最近のコメント
プロフィール

薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


薬&提灯 詳しくは
病院でもらった薬の値段
http://kusuridukuri.cho-chin.com/

お薬の名前の由来
http://drugname.onmitsu.jp/

ミニ提灯データベース
http://kentapb.nobody.jp/
でどうぞ。


本ブログに関するご質問・ご意見などはこちらまで↓
ご使用の際は、@マークを半角に直してください。

kentapb@gmail.com

トラックバック


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...