薬作り職人のブログ

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アルツハイマー病治療薬の開発が難しいわけ。 はてなブックマーク - アルツハイマー病治療薬の開発が難しいわけ。

神経変性疾患と呼ばれる病気があります。簡単に説明すると、神経細胞が何らかの原因でダメになり(変性)、死んでしまう病気。脳神経がうまく働かなくなるので、記憶障害や運動障害などが起こります。その中の代表的な病気として、アルツハイマー病(記憶障害)が挙げられます。

アルツハイマー病の治療薬を開発するのは、非常に難しく、世界中の新薬開発研究者が精力を尽くしても、なかなか前進することができません。2000-2009年の10年間には、アルツハイマー病治療薬として成功を収めた薬はついに出ませんでした。

アルツハイマー病治療薬の開発が難しい一番の原因は、やはり神経変性や細胞死の原因がよく分からない、ということにつきます。ヒントはいろいろとあるのですが、それがヒトの病気の原因なのかどうかの確証がとれない、と言うのが大きいです。

アルツハイマー病には、アリセプトという進行をある程度遅らせる薬が存在します。しかし、アリセプトでアルツハイマー病を完全に根治することはできません。アリセプトは、神経変性疾患の原因で有る「神経死」を止める薬ではないからです。

神経が死ぬと、神経活動に必要な神経伝達物質の量が低下します。アリセプトは、この神経伝達物質を補充させる働きを持っています(具体的には、アセチルコリン分解の抑制によるアセチルコリン量増加)。つまり、アリセプトは壊れつつある神経の働きをなんとかカバーするための薬であり、神経が壊れるのを止めたり、駄目になった神経をなおす薬ではありません。

現在、アルツハイマー病の新薬としては、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬と呼ばれる、神経変性の原因と考えられている生体内蛋白(Aβ分解産物)の産生を止める作用を持つ薬が開発中です。これらの薬剤は、神経変性を止めアルツハイマー病の進行を止める可能性を秘めています。ただし、ヒトと動物の間の壁は高く、特殊な条件の動物で効果を示す薬がヒト患者で効果を示すかどうかは、臨床試験の結果が出るまでは分かりません。

一方、ダメになった神経を改善させる薬剤というのは、もっと難しいものがあります。傷つきつつある神経細胞を薬の力だけで再生し、元通りにするというのは、非常に難しいものがあるのです。培養細胞レベルでは、いろいろなタンパク質が神経細胞の生存にかかわることがわかっているのですが、複雑な脳の中では、たくさんのタンパク質のネットワークがあり、単純にタンパク質を外から入れてやればよいと言うものでもありません。外から余分なものを入れると、体内のバランスが崩れ、変なところで害が出るということもありえます(これは、遺伝子治療や再生医療の場合にもいえることです)。

と、いろいろネガテイブなことばかり書いてきましたが、かといって希望を全然もっていないわけではありません。あくまで現状は「どうなるかわからない」というだけであって、「無理だろう」ということではないからです。

アリセプトの特許は、来年の11月に切れます(アメリカでの特許)。こういう時期だからこそ、来年には、何らかのブレークスルーが起こって、次世代のアルツハイマー病治療薬のきっかけがつかめればいいな、と思っています。

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[ 2009/12/26 23:56 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

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Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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