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化学物質の安全性について押さえておくべき4つの単語。 はてなブックマーク - 化学物質の安全性について押さえておくべき4つの単語。

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食品添加物や農薬など、食物に含まれ、日々体内に入る可能性がある化学物質の安全性を判断するには、次の4つの単語について理解する必要があります。

1)毒性試験
 化学物質は、投与量を高く・投与期間を長くすることによって、必ず生体の働きにとって有害な作用を示します。化学物質の毒性試験では、動物に様々な投与量の化学物質を長期間投与して、血液の検査や解剖を行います。解剖では、体内のあらゆる臓器の組織を顕微鏡で検査し(病理検査)、細胞レベルで起こっている変化を調べます。この毒性試験により、生体に対して化学物質がどのような有害作用を起こすかをリストアップすることができます。


2)無毒性量(NOAEL: No Observed Adverse Effect Level)
 毒性試験の結果から、その有害作用が生じる化学物質の最小投与量(最小毒性量)、および有害作用が生じない化学物質の最大投与量(無毒性量)を決定することができます。安全性を判断するときには、何種類もの毒性試験の結果から得られた無毒性量の中で、もっとも低い数値を使用します。


3)安全係数(SF: Safety Factor)
 毒性試験によってもとめた無毒性量は、あくまで動物実験によって求められた数値です。したがって、これがそのままヒトに当てはまる保証はありません。そのため、ヒトに対する安全性を保証するため、動物とヒトとの間での無毒性量に差をつける必要が生じます。この差をつけるための数字を安全係数といいます。
 たとえば、「安全係数が100」の場合、動物での無毒性量の100分の1の量をヒトでの無毒性量と判断する、ということになります。

ヒトと動物の間で差が生じる原因としては、下記の2つがあげられます。

a)ヒトと動物の間で、化学物質に対する細胞の感受性や、化学物質の体内存在量(吸収量、分布量、生体内の残存時間)に差がある

b)ヒトの間で、化学物質に対する感受性に個人差がある。

これらの各要素については、細胞を用いた試験である程度の予想をすることはできるのですが、更に予測できない不確定要素を加味して、a)、b)それぞれについて10倍のぶれが生じうると考えます。そのため、現在の安全性の評価で用いられている安全係数は、10倍x10倍=100が基本となっています。


4)1日摂取許容量(ADI : Acceptable Daily Intake)
無毒性量を安全係数で割って得られた数値を1日摂取許容量とよんでいます。安全性の評価においては、1日摂取許容量には、ヒトが食品中に含まれるある化学物質を、一生涯にわたって毎日摂取しても危険がないと推定される1日当たりの摂取量と解釈します。

1日摂取許容量が、普段私たちが摂取する常識的な化学物質量と比べ、どれだけ離れているかを考えることで、化学物質の安全性を判断することができます。

現在の厚生労働省の安全性判定基準は、このような流れで決められています。しかし、これらの4つの単語が表に出てくることはほとんどありません。私は、大学の薬学部の毒性学の授業で、これらの言葉を初めて聞きました。最近起こったエコナ問題においても、これらの4つの単語を用いた報道やプレスリリースは見た覚えがありません。

これらの概念は難しいように思えますが、実は単純なかけ算や割り算の話でしかありません。高校生でも理解することは十分可能でしょう。自分たちの生活の安全性を支えているこれらの知識については、学校教育の中で何らかの形で取り上げていくことが必要ではないか、と思います。そして、科学的な考え方をした上で化学物質とのつきあい方を自ら決める、という姿勢がとれるようにすべきだと考えます。


化学物質の安全性についての議論が易しく書かれている本。良書です。



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[ 2009/09/28 23:39 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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