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コラーゲン摂取とお肌の関係。 はてなブックマーク - コラーゲン摂取とお肌の関係。

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先日の記事「賢い議論というのは、こうするんだなぁ。」のなかで、「コラーゲンを食べたら肌がぷるぷるになるのか?」という議論を取り上げました。たくさんのコメントをいただき感謝しております。

いただいたコメントをもとに、コラーゲン摂取とお肌の関係について、もう少し調べてみました。

結論から言うと、コラーゲンを摂取してもコラーゲンは体内に入らず、お肌はぷるぷるになりません。コラーゲンを分解してできたコラーゲンペプチドは、消化分解されて体内に入り、体内のコラーゲン量が増える可能性はあります。ただ、これをお肌のぷるぷるに結びつける積極的なデータはまだありません。

学術用語でいう「コラーゲン」は、筋肉や皮膚の強度や弾力性を保つ役割をもつタンパク質です。コラーゲンは、約1000個のアミノ酸がつながってできたペプチド鎖が3本絡み合う「3重らせん」という構造をもっています。この3重らせん構造によってできた繊維状の構造が複雑に絡み合うことで、筋肉や皮膚に存在するコラーゲン繊維ができます。

コラーゲンは、消化管内の消化酵素によって分解されることはありません(生体内での分解は、コラゲナーゼという酵素によっておこります)。コラーゲンは、非常に大きい分子であることから、そのままでは消化管内の細胞内に入り込むことはできません。そのため、コラーゲンをそのまま食べても体内には入らず、お肌に行くこともありません。

ところで、私たちが食物で摂取するコラーゲンは、厳密には上に挙げたコラーゲンではありません。「コラーゲンペプチド」と呼ばれる物で、コラーゲンを熱処理や酵素処理でばらばらにしたものです。

コラーゲンペプチドは、コラーゲンの断片であるので、コラーゲンのもつ性質は持ちません。消化酵素によって分解され、アミノ酸(もしくは数アミノ酸がつらなったペプチド)として体内に吸収されます。したがって、コラーゲンペプチドがそのまま皮膚のコラーゲンにはなることはありません。

だから「食べたコラーゲンががそのままお肌へ」なんていう宣伝文句があったとしたら、それは間違いです。

では、吸収されたアミノ酸は、皮膚でコラーゲンになるのでしょうか。コラーゲンの材料であるアミノ酸をたくさんとれば、そのままコラーゲンがたくさん出来そうな気もします。しかし、コラーゲンはDNAからの転写翻訳によって合成されているので、この経路を調節する何か、がなければ、コラーゲンの合成量は変化しません。材料がたくさんあるからと言って、タンパク質がたくさん出来る訳ではありません。何らかのきっかけが必要なのです。

コラーゲンには、特殊なアミノ酸(ヒドロキシプロリン)が含まれています。このヒドロキシプロリンが、コラーゲン合成になんらかの影響を与えているのではないか、と考えている研究者がいます。

先日の記事で、ninespiritさんが指摘してくれた京都府立大の佐藤健司教授の研究(J. Agric. Food Chem. 2009, 57, 444–449)では、ヒドロキシプロリンは、コラーゲンを合成する繊維芽細胞(fibroblast)の増殖を促進することで、コラーゲンの合成量を高めるのではないか、とのことです。吸収されたアミノ酸が直接コラーゲンになるのではなく、間接的にコラーゲン合成量を増やす、との立場です。

この報告の参考文献(J. Agric. Food Chem. 2005, 53, 6531-6536)によれば、ゼラチン(コラーゲンを熱で変性させて作る)を経口摂取すると、この繊維芽細胞の増殖活性を示すのに十分なヒドロキシプロリンが摂取できるようです(言い換えると、コラーゲンのサプリじゃなくて、普通のゼラチンを食べればOKということでもありますが)。

ただ、ヒドロキシプロリンによって増殖した線維芽細胞がきちんとコラーゲンを産生しているのか、試験管内での話が生体内でもそのまま成り立つのか、繊維芽細胞のコラーゲン合成増加がぷるぷる感にそのままつながるのか(ぷるぷる感に必要なところでうまく合成されるのか)については、これからの検討が必要です。

国立健康・栄養研究所のサイトでは、「実際に皮膚の状態を改善する効果があるかについては、科学的に十分に証明されているわけではありません」との記述があります。コラーゲン増加=肌ぷるぷるを、現段階で直接結びつける科学的な証拠はないようです。

「コラーゲンには有効性が全然ない」というのは、今の段階では言いすぎなのかもしれません。ただ、コラーゲン関連商品の宣伝文句には、これに乗じているのか、「ちょっとこれはおかしいのは」というものも多く見かけられます。

買う買わないは個人の自由ではありますが、明らかにおかしな宣伝文句をうたっている商品は、やはりなんらかの問題点が潜んでいそうな気がします。

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[ 2009/09/08 20:49 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

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Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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