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寒い国から来たクスリ~Dimebolin~ はてなブックマーク - 寒い国から来たクスリ~Dimebolin~

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Dimebolinという薬があります。Dimebolinは、アルツハイマー病の治療薬として臨床試験が行われている薬で、現在PhaseIIIという最終段階の試験が行われています。これまでの結果では、アルツハイマー病の初期から中程度の患者さんに対して、症状を改善する効果が認められているようです。

現在用いられている新薬は、基本的にアメリカかヨーロッパか日本生まれの薬がほとんどなのですが、このDimebolinは、ロシア(旧ソビエト)生まれの薬です。私もこの業界に長くいますが、ロシアの薬というのは聞いた覚えがありません。冷戦時代、アメリカと科学技術を競い合った国ですから、画期的な新薬を作り出していても良さそうなものなのですが、意外と薬の歴史の中ではロシアの名前は出てこない印象があります(「鉄のカーテン」のなか、日の目を見ずに埋もれてしまったのかもしれませんが)。

Dimebolinは、もともとはアレルギーの薬(抗ヒスタミン薬)としてロシアで作られ、使用されて来たのですが、副作用が多く生じたために、本来の目的には使われなくなりました。そのDimebolinが、ネズミさんを使った実験で記憶障害に効果がある可能性が分かったのは、10年程前の話。どんな経緯があって記憶についての実験がされたのかはわからないのですが、動物実験の結果を受けてアルツハイマー病の患者さんに投薬したところ、見事に病状を改善したというわけです。

現在、アルツハイマー治療薬として使われているのは、アリセプトやメマンチン(これは海外のみ)という薬です。アリセプトは、記憶に関わる神経細胞に働きかける物質「アセチルコリン」の働きを強める働きがあり、メマンチンは脳内のNMDAという物質の働きを抑えることで、記憶に関わる神経細胞が死んでしまうのを防ぐ働きがあります。

Dimebolinの作用メカニズムは、まだよくわかっていないのですが、アリセプトとメマンチン、両方の作用メカニズムを併せ持つといわれています。また、このメカニズムとは別のメカニズムの神経細胞保護作用も持っているそうです。

これまでの治療薬であるアリセプトやメマンチンは、アルツハイマー病の進行を遅らせることはできますが、完全に病気の進行を止めることはできません。これらの薬剤と異なるメカニズムをもつ可能性があるDimebolinは、アルツハイマー病の進行を止めることが出来るかもしれません。それを確かめるには、長期間の臨床試験が必要なため、Dimebolinの真の実力が分かるのはもう少し先の話になると思います。

現在、Dimebolinはアメリカのファイザー社によって開発が行われています。ファイザー社以外でも、アルツハイマー病の新薬は様々な会社で開発されているのですが、開発中止という話ばかりが聞こえてきます(先日も大日本住友製薬の新薬が開発中止となりました)。寒い国から来たクスリ、Dimebolinが果たしてこの新薬レースを勝ち抜けるのか、見守りたいと思います。

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[ 2009/04/23 22:21 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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