FC2ブログ

薬作り職人のブログ

新薬のアイデアを考える人から見たいろんな話。

しわを取る薬「ボトックス」。 はてなブックマーク - しわを取る薬「ボトックス」。

banner_top.gif


昨日、まつげを伸ばす薬「LATISSE」を取り上げましたが、この薬を開発したアメリカのAllergan社は、他にも変わり種の薬を開発しています。

それは、しわを取る薬「ボトックス」。顔のしわがある部分に注射すると、その部分のしわがとれる、という作用を持っています。エステに興味のある方なら、名前を聞いたことがあるかもしれません。

日本でも「65歳未満の成人における眉間の表情じわ」を取るための薬として、「ボトックスビスタ」という商品名で、今年の1月から発売されました(日本では、グラクソ・スミスクライン社から発売)。この薬は、専門の先生の元でしか使用できず、美容目的の薬ということで健康保険は効きません。

もともとボトックスは、顔やまぶたの痙攣を抑えたり、痙性斜頸という首が不自然に曲がってしまう症状を治療するために開発されました。ボトックスは、筋肉の収縮をコントロールする運動神経の働きを止め、筋肉を緩めることで、痙攣や斜頸などの症状を改善します。

実は、このボトックスの主成分は、とんでもなく強い毒である「ボツリヌス毒素」です。ボツリヌス毒素は、重い食中毒を引き起こすボツリヌス菌という微生物が作り出す毒です。ボツリヌス毒素は、以下のようなメカニズムで筋肉を緩める作用を示します。

筋肉が収縮するときには、運動神経の末端からアセチルコリンという物質が放出されて、筋肉のアセチルコリン受容体というタンパク質に結合します。このタンパク質が活性化することがきっかけとなり筋肉は収縮します。

ボツリヌス毒素は、アセチルコリンを運動神経から放出させるために必要なタンパク質を壊してしまうので、アセチルコリンが運動神経から放出されず、筋肉が収縮できなくなります。そのため、不自然に収縮している筋肉の部分にボツリヌス毒素を注射すると、筋肉が収縮できなくなり、緩くなることで痙攣や斜頸などの症状が治まるのです。

ボツリヌス菌が感染しておこる食中毒の場合には、全身でボツリヌス毒素が作り出されるので、呼吸に必要な筋肉などを動かすことが出来なくなってしまい、重い中毒症状が起こし、死に至ることもあります。

ただし、ボトックスの場合は、極微量のボツリヌス毒素を患部に直接投与するので、全身の筋肉に作用を及ぼすことはなく、臨床試験では安全性が確認されています。

Allergan社は、ボトックスの「筋肉が緩まる」というところに注目し、「しわになったところを緩める」ことで、「しわを取る」ことができるのでは?と考えました。そして、極微量をピンポイントに注射すると言うアイデアで、見事しわを取る作用を引き出すことに成功したのです。

ボトックスを使ったしわ取りの話を最初に聞いたときは、「美しくなるためには毒をも使うなんて、女性の美への執念は恐ろしい」と思ったものです。ボトックスビスタが日本に上陸して数ヶ月経ちましたが、はたしてどれだけの女性がつかっているのか、、気になります。


さらなる上位が元気の源、応援ポチをおねがいます。
1ポチで、社会人OLには7P、自然科学は3P加算されます。
果たして現在の順位はいかに??

banner2.gif

関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ 2009/03/26 22:33 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

スポンサードリンク

この日記のはてなブックマーク数

このブログが生まれて
最近のコメント
プロフィール

薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


薬&提灯 詳しくは
病院でもらった薬の値段
http://kusuridukuri.cho-chin.com/

お薬の名前の由来
http://drugname.onmitsu.jp/

ミニ提灯データベース
http://kentapb.nobody.jp/
でどうぞ。


本ブログに関するご質問・ご意見などはこちらまで↓
ご使用の際は、@マークを半角に直してください。

kentapb@gmail.com

トラックバック


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...