薬作り職人のブログ
製薬会社研究者の視点から見たいろんな話。
作用メカニズムが分からない。
昨日のブログの記事のなかで、
アセトアミノフェンという解熱鎮痛薬の作用メカニズムが
現在でもよく分かっていない、とかきました。

世の中に出回っている薬はいろいろありますが、
その作用メカニズムが分からない、
というものは確かにあります。

いまから30-40年くらい前までは、
まだ生体の仕組みがよくわかっていなかったので、
化学者が合成した化合物をいきなり動物やヒトに投与して、
直接効果があるかどうかを調べるという方法が取られました。

望む作用が持つことがわかり、安全性を確認することができれば、
実際に臨床で使用できる薬ができあがり、というわけです。

そして、どのような作用メカニズムで効くのか、は、
薬が出来上がってから調べる、という順番でした。

そのため、作用メカニズムがわからないけど効く薬、
なんてものができたのです。
(「漢方薬」も、この種の薬だと考えられます)


現在は、作用メカニズムがわからないけど効く薬、
というのは生まれにくくなっています。

バイオテクノロジーの進歩により、
細胞の働きや遺伝子の働きが解明されるようになり、
病気の起こるメカニズムが予想できるようになったからです。

まず、病気の起こるメカニズムの仮説があり、
その仮説に沿って化合物を合成し、
動物で効果を確かめる、という手順で薬を探し出します。

つまり、最近の新薬というのは、
最初から作用メカニズムが分かっている薬なのです。

いろいろ書いてきましたが、
作用メカニズムがわかっていてもわからなくても、
よく効く薬は良い薬であることは間違いありません。

よく効く薬を、確実に見つけ出していきたいです。

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コメント
この記事へのコメント
私の何よりキライな(わからない)亀の甲をプロフィールにもつあなたを尊敬してしまいます。
難しい事を判るように書いてくださる努力がダントツの1位を維持しているのでしょうね。スゴ〜イ!
2008/11/04(火) 23:51:43 | URL | emiko3912 #tba.E4j6[ 編集]
風邪薬でも種類が豊富ですよね。
わからない時は、薬剤師さんに
相談するようにしています♪
風邪薬とともに滋養強壮剤を
勧められますね!
2008/11/05(水) 09:34:50 | URL | ラン #-[ 編集]
技術の進歩はすごいですね…。
余計に何を選ぶかが
素人にはどんどん難しくなっているような気がする今日この頃ですv-356

2008/11/05(水) 16:19:44 | URL | ma323 #-[ 編集]
そうですね
本当にそうですね。あまりに理論から入るので逆に、時々、動物モデル実験で理論どおりに効果が現れなくて焦ることもしばしば。。ビトロでは効いていたのに!何故!!と思いますよね。それでつぶれてしまったプロジェクトも。。大抵はモデル実験をした人のせいにされていますが。。。ってうちの会社だけかな?
2008/11/05(水) 16:54:00 | URL | フージャー #-[ 編集]
Confidence in Mechanism
作用mechanismを分子、細胞、動物レベルで説明することは技術の進歩した今さほど難しいことではありません。しかし、実際にヒトに投与した場合その作用mechanismで効いているのか、は全く別問題なのです。作用mechanismを分子、細胞、動物レベルで証明、ではなく、説明と書いたのはそのためです。データを元に理論構築は出来るのですが、それがヒトにおいて正しいのかについては相当な労力をかけても中々証明できないのではないでしょうか。前臨床と臨床の間にはまだまだ大きなギャップがありますね。
2008/11/05(水) 19:47:46 | URL | カージナルス #-[ 編集]
最近の技術の進歩はすごいですねー。細胞レベルのことまで、解析できるようになってるんですね!その中でメカニズムの仮説をたて、それにそって薬を合成する・・・。いやー技術屋としては非常に面白いネタですね!!
応援☆
2008/11/05(水) 21:55:19 | URL | まー #tHX44QXM[ 編集]
コメントのお返事です。
>emiko3912さん
亀の甲、、、見るの好きなんですよ。勉強っていうイメージより、きれいな絵をみてるような感じがします。
1位キープは、皆さんの応援のおかげです!これからも、いろんな薬のことを書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

>ランさん
薬の専門家である薬剤師さん、どんどんお話を聞かれる事をお勧めします。自分が飲んでる薬の事は、どんなことでも積極的に知識を持ってた方がいいと思います。ちなみに、私みたいな研究者の場合は、実際に現場で使われている薬については、意外と知識がなかったりするんですけどね。

>ma323さん
技術が進めば、いいモノがどんどん見つかる、、ということが、今の薬作りにはなかなか通用しないんですよね。研究者にとっても難しい時代です。

>フージャー さん
今までにない新規メカニズムをターゲットにする場合には、予想外の事がたくさん起こりますね。それだけに、細胞レベル、個体レベル、、1つ1つの実験結果が、わくわくどきどきものです。これが薬作りの楽しみ、でもありますね。
ヒトで効かなかった時には、言い出しっぺっていうことが多い薬理屋は、つらい立場です。どこも同じじゃないかなぁ。。

>カージナルズさん
「作用メカニズム重視」というのは、創薬活動を引っ張っていくための一種の方便、という開き直った考え方もできますよね。PhaseIIでヒトでのPOC確認をするまでの間は、新規メカニズムの薬がヒトで効くかどうかは誰にもわかりません。そんな中、薬理屋には、何億円の開発費を経営陣に出してもらうために必要な論理的な説明(はったり?)を作りだす能力が要求されているような気がします。それだけに、PhaseIIの結果というのは、研究者人生を賭けたばくちのような感じがします。
一度効く事が分かってしまえば、後漬けの実験はいくらでもできるし、薬理屋の本来の仕事はここなんですけど、なかなかそこまでたどり着けないのが実情ですね。

>まーさん
メカニズムの仮説をたて、それにそって薬を合成する、、という方法論は20世紀後半にはほぼ確立され、この十数年の急速な創薬技術の発展の中、私たちはずっと薬作りをしてきました。
それでも、新薬をつくる難しさは、ほとんど変わっていないんですよね。むしろ難しくなったと言ってもいいくらいです。まだまだ、私たち研究者が頭をひねる日々はずっと続きそうです。
2008/11/05(水) 23:14:11 | URL | 薬作り職人 #-[ 編集]
なんだか、ニワトリが先か 卵が先か?みたいな話です(@@)

私達 サプリメント管理士は 「病気を予防」することを 目的の一つとして サプリメントの摂取を皆様におススメしています。
まだまだ、薬事法により 様々な成分の使用が許可されていませんが 現在のサプリメントの効能(← ホントは使ってはいけない言葉^^)は 科学的なデータが きちんと取れるものとなってきています。
薬とサプリメントの境界線も かなりなくなってきているのではないでしょうか?
これからの時代は 「予防と治療」の両面がお互い手を取り合って 「健康」を守っていけたらいいなと思っています。
2008/11/05(水) 23:31:54 | URL | サプリメント管理士 #hxjklqKc[ 編集]
babyが風邪をひいて、お薬の
お世話になっていますが
薬が効いて楽になっているのを
見ると、ああ、よかったなぁ〜と
心底思います。シロップ系(冷蔵庫で
保存しようかいつも迷います)なのに
中々飲んでくれないのでいつも一騒動です。


以前、大学で考古学の授業を受けた時に
発掘調査とかをする時も、ある仮説があって
それを元に理論を組み立てて・・という話を
聞いた記憶があります。研究って積み重ねと
理論だけではなくある種の閃きも必要なのですね。
柔軟な考えって持とうと思って持てるものでは
ないので、本当に大変そうだなぁと思います。
2008/11/07(金) 00:20:45 | URL | 琴音 #-[ 編集]
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