FC2ブログ

薬作り職人のブログ

新薬のアイデアを考える人から見たいろんな話。

北風と太陽。 はてなブックマーク - 北風と太陽。

慢性心不全という状態があります。

いろいろな病気の結果、
心臓の働きが弱まってしまうことです。

心臓の働きが弱くなると、血液を全身に送りにくくなり、
酸素が不足して呼吸がしにくくなり、運動ができなくなります。
この慢性心不全の状態は徐々に悪化していき、
最終的には、心臓移植が必要になることもあります。

さて、昔から慢性心不全の治療には
強心薬という薬が使われてきました。
有名なものにジギタリスなんてのがあります。
ジキタリスは、薬草から得られる成分で、
心臓の収縮力を強め、心臓の働きを助けます。

ただ、このジギタリスは、さじ加減が難しいので、
更に別のメカニズムをもつ強心薬の開発が行われました。

β1アゴニスト、PDE3阻害薬。。
いずれも、心臓の筋肉の収縮を助ける強心薬で、
ジギタリスよりも使いやすく、
強くて効果があると考えられた薬です。

動物試験の結果、選び出されたいくつかの薬について、
慢性心不全の患者さんを対象にした臨床試験が行われました。

その結果、確かに心臓の働きは良くなりました。
しかし、長期間使用すると、
逆に心臓の働きが悪くなり、心不全が悪化しました。
そして、この現象は、患者さんの生存期間の短縮と言う
最悪の形で現れたのです。

この結果は、強心薬が疲れている心臓にムチを打つ、
という状況をつくり出したのが原因だと考えられました。

現在、慢性心不全の治療には、
βブロッカーやACE阻害薬という薬が使われています。
(土曜日に取り上げたアーチストはβブロッカーです)
これらの薬は、心臓の収縮力を弱めたり、血圧を下げたりして、
心臓の負担を軽くする作用があります。

心臓を無理矢理働かせるより、負担を軽くしてやる方がいい、
「北風と太陽」の童話のようなものです。

改めて考えると当たり前のようなことですが、
私たちが気づくには大きな代償が必要でした。

強ければ強いほどいいわけではない、
薬作りはとっても難しいです。。


本日も、応援ポチ!してくださいませ

banner2.gif


人気blogランキング投票!

ついでに、右にある科学ブログのボタンもクリックしてみてね。
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

[ 2008/05/19 22:12 ] 薬の話 | TB(-) | CM(-)
 

スポンサードリンク

この日記のはてなブックマーク数

このブログが生まれて
最近のコメント
プロフィール

薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


薬&提灯 詳しくは
病院でもらった薬の値段
http://kusuridukuri.cho-chin.com/

お薬の名前の由来
http://drugname.onmitsu.jp/

ミニ提灯データベース
http://kentapb.nobody.jp/
でどうぞ。


本ブログに関するご質問・ご意見などはこちらまで↓
ご使用の際は、@マークを半角に直してください。

kentapb@gmail.com

トラックバック


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...