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薬作り職人のブログ

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ミオピンの名前の由来。 はてなブックマーク - ミオピンの名前の由来。

昨日、息子の目の話をしたので、便乗ネタです。

ミオピン(塩野義製薬、主成分メチル硫酸ネオスチグミン)は、目のピントの調整機能を改善するための薬です。ミオピンは、目のレンズ(水晶体)の厚さをコントロールする筋肉(毛様体筋)の働きを改善することで、目の機能を回復します。

ミオピンの名前の由来
ミオピンは、仮性近視の治療に使われることから、Myopia(近視)にちなんで、ミオピンと命名されたそうです。

といっても、ミオピンで劇的に近視が治る訳ではないらしいんですけどね。

ここから余談。

ミオピンの主成分である「メチル硫酸ネオスチグミン」の作用メカニズムは、実は、あの毒ガス「サリン」と基本的におなじです。

体内の平滑筋や骨格筋と呼ばれる筋肉(毛様体筋は平滑筋です)の収縮は、アセチルコリンという物質によって起こります。アセチルコリンは、筋肉を収縮させる働きを終えると、コリンエステラーゼという酵素で分解されて、その効果を失います。

ところが、メチル硫酸ネオスチグミンやサリンは、このコリンエステラーゼの働きを止めてしまいます。すると、アセチルコリンの量が増えるので、筋肉の働きが高くなります。

サリンの場合、コリンエステラーゼの働きを止める作用が非常に強いため、サリンが体内に入ると全身の筋肉に極めて高い毒性を示します。また、アセチルコリンは神経や脳の働きにも関与しているので、サリンが体内に入ると神経活動が大混乱に陥ります。そして、これらの作用が急速に進行して、死に至るのです。

ミオピンは点眼薬なので、目だけに働きます。そのため、全身の副作用が出ることは滅多にないのです。

ちなみに、メチル硫酸ネオスチグミンは、重症筋無力症というアセチルコリンの働きが落ちる病気の治療に使われています。メチル硫酸ネオスチグミンは、脳の中に入らないので、サリンのような精神活動への影響はありません。

おなじメカニズムでも薬と毒になる、これが薬の本質です。


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ミオピン(メチル硫酸ネオスチグミン)の構造式
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[ 2008/04/23 21:07 ] 薬の名前の由来 | TB(-) | CM(-)
 

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薬作り職人

Author:薬作り職人
十数年、新薬の研究に携わる研究者(薬理系)でした。2012年4月から、企画職として、新薬のアイデア作りなどの仕事に取り組むことになりました。

薬学生向けの季刊誌MILで、「名前で親しむ薬の世界」「薬作り職人の新薬開発日記」って言うコラムを連載してました。

観光地で売ってるミニ提灯集めてます。妻子持ち(2児の父)、嫁さんからぐうたら亭主と呼ばれます。


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