薬作り職人のブログ
製薬会社研究者の視点から見たいろんな話。
チャンピオン。
「チャンピオンデータ」という言葉があります。

何回かやった実験の中で、
たった一度だけど、すばらしい結果がでた実験。

この実験データのことを
チャンピオンデータと呼びます。

自分の仮説を支持してくれる、素敵なデータ。
人前に出してみたい、きれいなグラフ。
自分の評価が上がるかもしれないデータ。

そんな誘惑にかられてしまう、危ないデータ。

実験結果を科学的に判断するには、
再現性というのが必要です。

何回やっても、実験結果が再現できなければダメ。
他の誰かがやっても、おなじ結果が出なくてはダメ。

チャンピオンデータは、この条件を満たしていません、
だから、科学的な判断基準からすると不合格です。

もちろん、たまたまその一回だけだけれども
正しい結果が出たのかもしれません。
他の実験が失敗したのは、何か問題があったから。
その原因を探し出せれば、再現性はとれる。

その考え方はいいんです。

問題なのは、その原因追及を後回しにして
先走って、結果を公表してしまうこと。

研究や商品開発と言うのは競争なので、
良いデータを先に出した方が勝ちです。
一等賞の誘惑に負けて、不完全なデータをだしてしまう、
お金の誘惑に負けて、不完全なデータを出してしまう、

こういうことは、結構あったりします。
あんまり表には出ないけど、
仕事で他社の実験データの再現性を調べていると
うまく行かないことが多いのです。
最近もそんな話があって、
大分時間とお金をロスしてしまったと聞きます。

逆に、自分の出したデータには自信があるけれども、
他社さんできちんと出てるのか、
というのも気になったりするんですけどね。

データには、チャンピオンはいりません。
必要なのは、地道にトレーニングする
未来を夢見るチャレンジャー、、です。


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