薬作り職人のブログ
製薬会社研究者の視点から見たいろんな話。
熱湯風呂。
昨日のテレビの深夜番組で、面白い実験をしてました。

バラエティ番組で、熱湯風呂ってのがあります。
人間がヤケドをしない限界の温度だというされる
46℃のお湯を張ったお風呂なんですが、
この熱湯風呂に裸で入っても熱くない、という技があるのです。

実際、芸人さんがこの技をやってました。
最初はものすごいリアクションだったのが、
その技をすると全然平気。肩まで使っても大丈夫。

技の中身は、ペパーミントの香りのもとの化合物である
「メントール」を溶かした液を体中に刷り込むというもの。
ペパーミントといえば口の中がすーっとする感覚が特徴ですが、
実は、メントールがこの感覚の原因です。

メントールのすーっとした感覚は、
感覚神経の上にあるTRPM8というタンパク質のおかげです。
TRPM8は、実は寒さを感じるセンサーとして働くタンパク質。
TRPM8は気温が下がると活性化して、
寒いという感覚を伝える働きがあります。

ここで何の偶然か、メントールはTRPM8に結合して、
TRPM8を活性化するという能力を持っています。
それでメントールにふれると、寒さを感じる神経が活性化して
すーっとした寒気に似た感覚が起こるのです。

「熱湯風呂が熱くない技」の場合も、この理屈が成り立ちます。
メントールを体中に塗りたぐって、
体中の寒さを伝える神経をどんどん活性化させてやると
お湯の熱さを伝える神経が麻痺してしまい、
熱くもなんとも感じなくなるのです。

ちなみに、この時には熱さを感じないのですけれども、
皮膚はちゃんとお湯に触れているので、
いい気になってお湯に長いことつかっていると
知らない間に低温ヤケドをしてしまう、ということです。

メントールは湿布にも用いられています。
湿布をはるとすっとして痛みが治まる、というのは、
熱湯風呂を何とも感じないのと同じメカニズムが働いています。

芸人さんの体を張ったリアクション、
実は、この技を身につけたうえで、
大げさに演技してるのかもしれませんね。あくまで想像ですが。
(じつはお湯がぬるいんだ、というツッコミはナシ)


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