薬作り職人のブログ
製薬会社研究者の視点から見たいろんな話。
注射の方が好き。
アメリカの製薬会社、ファイザーの発表です。
「exubera」っていう薬が、今月で発売中止。

副作用とかの問題じゃなくて、
売れなかったから、だそうです。

このexuberaって言う薬、糖尿病の治療薬です。
糖尿病(1型糖尿病)の患者さんは、
膵臓から分泌される血糖値をコントロールするためのホルモン、インスリンが不足しています。
そのため、毎日、インスリンを外から投与しなくてはいけません。
インスリンは、胃の中で分解してしまうので、
飲み薬として使うことはできません。

そこで、現在用いられているのは、注射による投与です。
皮膚の下に、患者さん自身で、注射器で1日に数回注射します。

ところが、exuberaという薬、注射剤ではありません。
飲み薬でもありません。
exuberaは、吸入薬。口から肺に吸い込むタイプの薬です。
注射以外のインスリン製剤は、これが最初。
私たちも、意表をつかれて、すごいなぁ!と思ったものです。

しかし、全然売れなかった。。。。
患者さんに取っては、いちいち吸い込むよりも、
注射の方が楽だったんでしょうね。

exuberaは患者さんのニーズに合いませんでした。
しかし、インスリンを肺から吸収させるという技術は、すごく画期的なものです。インスリン以外のホルモンでも、この技術は使えるかもしれません。

この失敗にめげず、さらなる新薬が開発されることを期待しています。

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