薬作り職人のブログ
製薬会社研究者の視点から見たいろんな話。
半年以上粘ってるけどダメなんですよー
別の部署の後輩が、久しぶりに話をしにきました。
昔やった実験の、手順書(プロトコール)が欲しいとのこと。
けっこう前の話だから、あるかなぁ、と思いつつ、
サーバの中を検索したら意外とあっさり見つかり、用件終了。

で、時間が余ったんで、後輩からの近況報告。

彼の今のお仕事は、
薬のスクリーニングに必要な細胞(あるタンパク質を持つ細胞)
を作るというもの。
これがうまくいかないと、プロジェクトが前に進みません。

ところが、この材料作りにえらい苦労してるらしい。
「半年以上粘ってるけどダメなんですよー」、と疲れた声でいってます。

目的のタンパク質をコードするDNAを細胞の中に入れて、
タンパク質がきちんとできてることを確認はしてるんですが、
薬をかけて細胞の反応を見ると、ピクともしない。
数百種類の条件を検討したけど、ダメらしいです。

スクリーニングの準備に与えられた時間は、長くて1年くらい。
もう半分以上は使ってしまってます。
このぶんだと、よっぽどトントン拍子で進まない限り、
タイムオーバーになる可能性が高いです。

「まだやってないことがあるから、やるしかないです」
と、後輩はいうけれど、果たしてうまくいくのか。
「ギブアップの判断基準を、そろそろ考えないといけないかな」
ともいってたし、やっぱりキツいんだろうな。

「これ以上出来ません、時間とお金の無駄だから止めましょう」
ということを言うのは、簡単そうでなかなか難しいです。

もう方法はないのか、それだけの努力をしたのか、
どういう結果が出たらギブアップするのか。
プロジェクト採択のときの見通しが間違っていたのか、
これ以上やる価値はないのか、
本当にプロジェクトを止めていいのか、

これらの疑問に答えるだけのしっかりとした意見を持たないと、
担当者の能力が足りないから、逃げてる、、
なんて悪印象を与えてしまいます。

後輩の仕事、うまいこといけば、勿論それが一番いいんですが、
ダメだとしても、引き際をきっちりするようがんばってほしいな、

失敗が当たり前の世界。
だめなものはだめ、と納得させるだけの実力がつけば、一人前。

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