では、なぜホクナリンには、ホクナリンテープという経皮吸収製剤があるのでしょうか?
経皮吸収製剤の場合、薬剤は非常にゆっくりと吸収されます。ホクナリンの場合、皮膚にホクナリンテープを貼付けると、数時間かけて血液中にホクナリンが吸収されます。ホクナリンの血液内の濃度は約24時間一定に保たれ、この間ホクナリンの効果は持続します。つまり、ホクナリンテープを一日に一回貼付けるだけで、喘息の発作を抑制することができるのです。この血液内濃度を一定にする仕組みは、TCS(Transdermal Chrono-delivery System):経皮時間制御送達システムと呼ばれています。
ホクナリンテープの作用時間が24時間と長いことから、寝ている間の喘息発作の抑制が可能となります。一般に、呼吸の機能は夜から朝にかけて低下する(モーニングディップといいます)といわれています。そのため、喘息の患者さんでは、呼吸機能が低下する早朝にぜんそくの発作が起きやすくなります。ホクナリンテープは、このような早朝発作を押さえることができます。
また経皮吸収製剤は、薬を口から飲むことができない患者さん、例えば小さい子供への投与に使うことができます。
さて、ホクナリンが喘息の発作に効くメカニズムは、以下の通りです。
喘息の発作の時には、気管支の筋肉が収縮し、空気が通りにくくなります。そこで、発作をおさめたり、予防するには、気管支の筋肉をゆるめ拡張させる必要があります。
ホクナリンは、気管支の筋肉上にある、アドレナリンβ2受容体というタンパク質に結合し、活性化させます。アドレナリンβ2受容体は、筋肉を弛緩させるためのシグナルを細胞内に送るためのタンパク質なので、ホクナリンにより気管支の筋肉は拡張します。その結果、喘息の発作がおさまる(予防できる)という訳です。
古典的なメカニズムと、新しい投与経路の融合ですね。
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