今回、数ある抗生物質の中でクラリスロマイシンを取り上げたのはなぜかといいますと、2005年のノーベル医学生理学賞のターゲット「ピロリ菌」に関連した薬だからです。
ピロリ菌とは、胃の中に生息する細菌です。
ノーベル賞を受賞した2人は、ピロリ菌が胃炎、胃潰瘍、胃がんの発症や再発に関与することを医学的、疫学的に証明しました。このことにより、胃の病気の治療法に大きな進歩を与えたというのがノーベル賞受賞の理由です(受賞者の1人は、ピロリ菌を実際にのんで(!)胃炎が起こることを証明しました)。
クラリスロマイシンは、このピロリ菌を胃から除去するのに使われているのです。では、そのメカニズムを見てみましょう。
抗生物質の元祖「ペニシリン」以来、数多くの抗生物質が発見、使用されてきました。これら抗生物質が、細菌の発育を阻止するメカニズムは様々ですが、「『細菌の増殖に必要でかつヒトの細胞にはないタンパク質』の作用を抑制する」というのが基本です。これは、細菌とヒト両方にあるタンパク質の作用を押さえると、ヒトの細胞にもダメージを与え、副作用が起こるためです。
クラリスロマイシンの場合は、細菌の細胞中にあるリボソームという部品の50Sサブユニットと呼ばれるタンパク質と結合して、その働きを抑えます.
リボソームとは、タンパク質の構成成分であるアミノ酸とタンパク質の設計図であるmRNA(メッセンジャーRNA;DNAに書かれたタンパク質の設計図の写し)から、タンパク質を合成するための部品です。リボソームは、mRNAにかかれた設計図に基づき、アミノ酸を順々に結合していきます。その結果、タンパク質が合成されます。
リボソームは多くのタンパク質で構成されています。ヒトにもリボソームという部品はありますが、細菌の細胞にある50サブユニットというタンパク質は、ヒトのリボソームにはありません。そのために、クラリスロマイシンは、細菌のタンパク質合成だけを抑制します。細菌は生存に必要なタンパク質を合成できなくなるため、生育が止まります。
臨床の場では、ピロリ菌除菌のために、クラリスロマイシン以外に、ペニシリンの仲間の抗生物質のアモキシリンを併用します。また、アモキシリンが作用を出しやすくするために、胃の中の酸性度を低くする必要があるため、ランソプラゾール(タケプロン)という、胃酸分泌を抑制する薬を併用します。
最近は、これら3剤をまとめてランサップという名前の製品にしたものもあります。この3剤併用による除菌作用は強力で、胃潰瘍などの再発もかなりの割合で抑制されます(ある程度、副作用もでるようですが)。
で、この3剤の中で、今回クラリスを紹介したのには
理由があったりします
クラリスという名前が好きなだけ(カリオストロの城、、、)
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