薬作り職人のブログ
製薬会社研究者の視点から見たいろんな話。
シンビットの名前の由来。
シンビット(バイエル薬品、主成分塩酸ニフェカラント)は、心臓のリズムが乱れた状態である不整脈の治療に用いられる薬です。特に、シンビットは最も重篤で生命にかかわる「心室細動」とよばれる不整脈の治療に用いられます。
シンビットは、心臓のリズムをコントロールする「hERGチャネル」と呼ばれるタンパク質の働きを止めることで、心臓のリズムを元に戻す働きをします。

シンビットの名前の由来
シンビットは、心臓の拍動をコントロールする薬であることから、心拍の心(シン)と拍(うつ=beat=ビート)をとり,シンビットと命名したそうです。

hERGチャネルの働きは非常に重要であり、正常な心臓のhERGチャネルの働きを抑制すると、死に至る副作用(致死性不整脈)を起こす可能性があります。そのため、新薬の開発では、hERGチャネルの働きを止めない化合物を選び出すことが要求されます。しかし、hERGチャネルの働きを止める化合物は意外に高い確率で出現するので、多くの製薬会社で頭を抱えている研究者が多い(はず)です。

今回は、真面目モードでお送りしました。

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シンビット(塩酸ニフェカラント)の構造式
程よい強さ。
薬がヒトの体の中で効果を示すためには、
薬が生体内のターゲットとなる物質(例えばタンパク質)と
ほどよい力でくっつかなくてはいけません。

その力には2つの種類があります。
(1)プラスの電気とマイナスの電気が引き合う力
(2)似たもの同士が引き合う力

プラスとマイナスが引き合うのは
磁石のNとSみたいな感じで何となく分かります。
まぁ、男と女のようなものですね。

(2)の似たもの同士というのは、
友情のようなものでしょうか。

専門用語だと「疎水性相互作用」なんていう
すごく硬い言葉になりますが、
要は、水をはじくような性格のモノ同士は
(意外と)引き合いやすい、って感じです。
油と油はまざりあう、ということ。

ただこの2つの力が強すぎると、
薬としてはかえってよくありません。

薬とターゲット分子が離れられないくらい強い力でくっつくと、
薬の作用のコントロールが効かなくなってしまいます。
コントロールできない薬は毒と一緒。これは困ります。
薬とターゲット分子がくっついたり離れることができるような
程よい強さの力が必要なのです。

束縛しすぎると、かえって関係が悪くなる。
薬とヒトの関係、なんか人間関係と似てますね。
だから、薬をつくるのはこんなに難しいのか、うん。

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ヨーデルの名前の由来。
ヨーデル(藤本製薬、主成分センナエキス(センノシドA,B))は、便秘の治療に用いられる下剤です。ヨーデルは薬草センナから得られるエキス成分で、大腸の中で細菌により分解され、大腸を動かす神経を刺激することで便通をよくします。また大腸からの水分の吸収を抑えることで、便をやわらかくして出やすくします。

ヨーデルの名前の由来
ヨーデルを飲むと便秘が解消しすっきりすることから、スイスのヨーデルのさわやかな感じをイメージして、ヨーデルと命名されたそうです。

これ、どう考えても「よー出る」ですよね。しかし、スイスのヨーデルとかけてるところは命名者のセンスのよさを感じます。やっぱり、あのさわやかさ(笑)は美しい音色のよう。。

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タココンブの名前の由来。
タココンブ(CSLベーリング、主成分ヒトフィブリノゲン、トロンビン、アプロチニン、ウマコラーゲン)は、心臓や肝臓、肺などの手術の時に、臓器の傷をくっつけるために用いられる薬です。タココンブは、出血を止めたり、傷を埋めるためのタンパク質などでできていて、シート状の形をしています。タココンブの成分の中でも、フィブリノゲン、トロンビンは、人の血液を固まらせるメカニズムに関わる重要なタンパク質です。

タココンブの名前の由来。
タココンブは傷を速やかにくっつけるための薬なので、「速さ」を意味す る接頭語「Tacho」(タコメーターのタコです)と「組織を接合する」または「コラーゲンシ ートとフィブリン接着剤の合体」という2つの意味をあらわす「結合」(combination) を略した「Comb」(コンブ)をくっつけて、タココンブと命名されたそうです。

タココンブ、、初めてきいたときには何の薬だろ??って思いました。まさか、タコとコンブが原料の薬だとか、、一度見たら忘れられないです。英語での由来は、こじつけのような気がしてなりません(笑)ちなみに原料には、ヒト、ウシ、ウマのタンパク質が使われてます。

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ジオンの名前の由来。
ジオン(田辺三菱製薬、主成分 硫酸アルミニウムカリウム、タンニン酸)は、痔を治療するための薬です。ジオンは、痔の中でも内痔核(いぼ痔)の治療に用いられます。ジオンをいぼ痔がある部分に注射すると、痔の部位に一時的な炎症を起こし、その炎症からの自然回復力によって痔をつぶします。また痔の部分の血管の血液量を減らして、痔からの出血を止めます。

ジオンの名前の由来
ジオンは「痔(Zi)核を1回(One)の治療で治す」薬である、という意味を込めて、ジオン(ZIONE)と命名されたそうです。

一度聞くと、もう忘れようがない名前です。まさか、某アニメ好きの人が命名した訳ではないのでしょうが。。


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