薬作り職人のブログ
製薬会社研究者の視点から見たいろんな話。
立ちっぱなしはつらい。
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朝8時から昼休みをはさんで昼3時まで立ち通し。
ここ数日、ひたすらこんな生活を過ごしています。
接客業の方の立ち仕事、すごいな、と実感しています。

普通、実験というのは実験台の前に腰掛けて、
座ってやることが多いのですが、
今回の実験はひたすら立ち仕事です。

ネズミさんの動きを見るための測定装置が、
実験者が立って実験することを前提にして
作られているのです。

一定の時間ごとに、ネズミさんを測定装置に載せて、
データをとっていきます。

次から次へと絶え間なく測定しなくてはいけないので、
ゆっくり椅子に座ってる暇がありません。
今日は80匹くらいのネズミさんを使って、
何度も難度も測定しました。
気がついたらもうお昼、気がついたらもう3時。。

実験が終わると、腰が痛くなってしまい
思わず腰をとんとんとたたいてしまいます。
それを女の子に見られて
「年寄りみたいですね〜」なんて言われると、
ちょっとショック。。。

まぁ、その苦労のかいあって、
データは着実にたまって行きます。
今日までの実験で、大体の予備的な実験は終了。
来週の後半からは、今回の実験から設定した条件で、
いよいよ一番やりたい実験に取りかかります。

まだまだ腰が痛い日々が続きそうですが、
データが取れなくて心が痛い、なんてよりはよほどまし。
腰を叩きながらがんばります。

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ネズミさんの紅い涙。
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ネズミさん(ラット;大きいネズミさん)は、
紅い涙を流すことがあります。

紅い涙、の赤は別に血の色という訳ではありません。
ラットの目の奥にはハーダー氏腺という組織があって、
ここからHematoporphyrinという物質が分泌されます。

このHematoporphyrinが光と反応して、
赤色を発することにより紅い涙が起こります。

ラットにストレスが加わったりすると、
ハーダー氏腺からの分泌物の量が増え、
ラットが涙を流すように見えるのです。

実験で、ラットに化合物を毎日投与していると、
ときどき目や鼻の先が紅く汚れていることがあるんですが、
これは紅い涙が流れたため、だと思われます。

化合物が、刺激性や自律神経に対する異常作用など、
動物に過度のストレスを与えるような性質を持っていると、
紅い涙が出やすい、とされています。

最初、紅い涙を見たときは、目や鼻から血が出た!と
とてもびっくりしたものです。

もちろん、このような性質を持つ化合物は、
薬の候補としてはあんまり気持ちのよいものではありません。

紅い涙、、なんかロマンチックにも聞こえますが、
できれば、出会いたくない現象です。

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ネズミさんと天気と季節。
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ここ数日、雨の日が続きますね。

研究所の中は空調完備とはいえ、
窓の外にどんよりとした雨空を眺めるのは、
あんまり気分の良いものではありません。

気分が沈むくらいならまだいいのですが、
人によっては、雨が降ると古傷が傷む、
なんていうことがおこるようですね。
しんどい思いをされてる方もいるようです。

これは、どうやら精神的なものではなさそうで、
実際に、天気と痛みの研究なんてのが行われています。

この研究によると、雨が降る天気の時は気圧が低くなり、
気圧の低下が、体内の様々な臓器の働きをコントロールする
交感神経の働きを乱すのだそうです。

炎症などで痛みを発している部分の神経(知覚神経)は、
交感神経の活動が高くなると痛みを感じやすくなる、
という性質があります。

そのため、気圧の低下により交感神経の働きが乱れると
傷ついた部分の痛みが感じやすくなる、というわけです。
この現象には、「天気痛」なんて学術用語もあるそうです。

私たちがネズミさんで実験していても、
実験日の天気や季節の違いによって、
なんか微妙に結果が違うな、って感じるときがあります。

ネズミさんに病気の状態を人工的に起こさせるときには、
この実験は冬じゃないと発症率が低い、なんていう、
季節による違いがあったりすることもあります。

このような現象は、長い期間にわたり、
数多くのデータを取得し、まとめることで
初めて浮かび上がってくることが多いです。

このようにして得られた、実験の基本的なデータを
背景データ(バックグラウンドデータ)と呼び、
実験を成功させるためには、とても大切なものです。

明日も雨が続きそうです。
実験者の憂鬱な気分がネズミさんに伝わらないよう(笑)
明るい気分で実験したいものです。

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今年も半分が終了。
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今日で、今年も半分が終了。

年を取るごとに、日が経つ早さを感じます。

ここまで、仕事もプライベートも、
まずまずいい感じでこれたのではないか、
と思っています。

今年に入って始めたいくつかの実験は、
苦労はしたものの、いずれもなんとかいい結果がだせ、
おかげでボーナスもちょっとだけ査定が上がりました。

3月には嫁さんが入院なんて緊急事態もありましたが、
幸い大きな後遺症も残さず切り抜け、
5月の連休には家族旅行にも行けました。

新型インフルエンザでは、
息子は一週間の臨時休校を満喫?し、
私は、海外出張にいけるかどうかヒヤヒヤ、、
ブログの更新も、一時期はこの話題ばかりでしたね。

MIL(薬学生向けの雑誌)での連載は、
「薬作り職人の新薬開発日記」が無事終了し、
「名前で親しむ薬の世界」が新たにスタート。
時折いただく読者の方からのメッセージが、
日々の生活の糧になってます。

ブログにはたくさんの方々からコメントをいただき、
毎日大変うれしい思いをさせていただいてます。
なかなかお返事できず、申し訳なく思ってます。

今年の後半は、いろいろと仕事があって、
忙しくなりそうな予感で一杯ですが、
ブログの方は「分かりやすい話を毎日更新」を目標に、
マイペースで続けて行きたいと思っています。

いいニュース、楽しい話題がたくさんお伝えできる、
半年になってくれるといいな〜。

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固体と液体の間。
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大抵の薬は、細かい粉から出来ています。

このような粉には、とても不思議な性質があります。

固体と液体の間。

1つ1つの細かい粒が集まると、
水と同じような動きを示す、
って様子を表したのが、下の動画。



水面に水滴を落としたときに見られる
「ミルククラウン」という現象が、
砂に鉄の玉を落としたときにも現れます。

砂が液体のように滴となって舞い上がる姿は、
とっても不思議な光景です。

薬を製造する工程では、大量の粉末を扱うことから、
粉の持つ特別な性質を知ることが大事です。

私の勤める研究所の図書室には、
粉についての専門書がたくさん並んでます。

固体、液体、とおなじように、
粉体という言葉がつかわれていて、
専門書の中は、積分記号やら微分方程式やら、
まるで物理学の教科書のようです。

大学の薬剤学の授業でも、
少しは勉強したはずだけど、
頭の片隅にも残ってない、、、

とはいえ、細かい理屈はわからなくても、
この動画が不思議だなぁ、と思える感性があれば、
まだまだ科学の世界で研究やって行けそうな気がします。

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武田薬品が苦しんでいます。
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日本の製薬会社の雄、武田薬品が苦しんでます。

ここ数年の頼みの綱の新薬である、
SYR-322という化合物の開発に
危険信号がともったからです。

長い期間をかけたSYR-322の臨床試験が終わり、
あとはアメリカの役所の審査結果待ち、というところで、
安全性確認のための更なる追加試験を行え、
という勧告が出たのです。

新聞の報道によれば、この追加試験によって、
最低でも2年近く発売が遅れることになりそうです。

新薬の開発はスピードが命。
この2年の遅れはとてつもなく大きいです。

糖尿病治療薬の新薬開発においては、
近年、循環器系への危険性(心血管系リスク)が
非常に厳しく評価される傾向にあります。
今回のSYR-322の追加試験の要請も、
まさにこれに当てはまるものです。

以前も書いたのですが、
武田薬品のアメリカでの売り上げに大きく貢献している、
「アクトス」という薬の特許がもうすぐ切れます。

アクトスの特許が切れると、様々な会社から
「アクトス」とおなじ成分を持つ医薬品、
つまりジェネリック医薬品が一斉に発売され、
価格の安いジェネリック医薬品のために
アクトスの売り上げは急速に低下すると予想されています。

そのため、アクトスの後を継ぐ新薬である、
SYR-322にかけられた期待は大きなものでした。

承認申請という、まさに販売を目の前にしたこの決定は、
製薬会社に取っては一種の死刑宣告のようなものです。

新薬開発における目標は、
「一番のり(ファースト・イン・クラス)」
もしくは、
「一番優れたもの(ベスト・イン・クラス)」です。

SYR-322は、DPP4阻害薬と呼ばれる
新しいタイプの血糖降下薬です。

ただ、アメリカでは、すでに他の製薬会社から、
DPP4阻害薬が発売されているので、
SYR-322については、一番乗りを目指す、
というわけには行きません。

ただ、「一番優れたもの」としての勝負は、
まだまだ大丈夫、と思われていました。
これは、真の薬の実力に加えて、
営業力での勝負、という面もありますから。

しかし、今回の安全性に対する懸念から、
このベスト・イン・クラスという目標も、
怪しくなって来たと言わざるを得ません。

このブログでは、
何回も武田薬品の新薬の話を書いてるんですが、
良い話よりも悪い話の方が多いです。

新薬開発というのは、失敗が常、といいますが、
製品化までもう後一歩、というところで、
厳しい内容のニュースが発表されることが多いのは、
同業者としてはつらいところです。

武田薬品は、海外の製薬会社を買収し、
新薬候補を導入するなどの手は打ってはいます。
ただ、自力で画期的新薬を作り上げる、という
製薬会社の本来の姿を維持するには、
長く苦しいいばらの道が前途に広がっているようです。

これは、もちろん他の会社でも同様で、
うちの会社もひとのことは言っておれません。
日本のトップである武田薬品の苦しみは、
日本の製薬会社の共通の苦しみでもあるのです。

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夏休みが見えてきた。
会社で夏休みについての書類が回覧されてきました。うちの会社は7月から夏休みがとれるので、休みの申請が出来るということだそうです。
わが家の夏休みの予定は既に決まっていて、それにあわせて実験計画も決めてあるので、早速手続きをすることにしました。
夏休みは北海道。家族の一員プレマシー君と一緒にフェリーでのんびり出かけます。稚内とか網走とか根室とかのホテルの予約もぶじおわり、後は休みがやって来るのを待つだけです。
北海道からは、先週買った新しい携帯でブログを更新出来たらな、と思います。
この記事も練習のため携帯から打っています。快適に長文が打てるのはとってもありがたいです。後は、写真を添付して投稿するやり方をマスターすれば恐いものなしですね。

さて無事投稿できてるのかな?
ランキングの応援もよろしくです。

追記
改めてパソコンから見てみたら、改行や段あけをうまくしてないので、読みにくいですね。まだ、この辺りの感覚は携帯からだとつかめてないなぁ。

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